千葉
2017年10月11日
ともに「背水の陣」と構える前首相で無所属前職の野田佳彦さん(60)、自民新人の木村哲也さん(48)を軸に、共産と維新新人の四人がしのぎを削る。
八期目を目指す野田さんは、民進出身候補者らの応援後、午後五時からJR津田沼駅北口で第一声。「安倍(晋三首相)さんに引導を渡し、自民党を倒すための戦いだ」と声を張り上げた。民進が「分裂」したことから、今回は無所属で戦う。「政党に属さないから比例復活はない。背水の陣ならず、水中の陣」。野田さんは「元総理が落選したら、次はない」と口元を引き締めた。
前回衆院選では県議を辞して出馬した木村さん。船橋市内のホテルでの出陣式、続くJR船橋駅北口での第一声で「三年前(前回選挙)は悔しい思いをした。落選したその日から毎日、街頭に立った。安全保障と社会保障に取り組む」と雪辱を期した。自民の内規で、衆院選で二回連続落選すると次回は公認されないとして「絶対に勝つ」。
船橋市内では、民主代表や民進幹事長などを務めた野田さんを支持する保守層が多い。このため木村さんの陣営は、自民組織による集票活動のほか、こうした保守票の取り込みにも力を入れる。
共産新人の深津俊郎さん(69)は第一声で「安倍政権を退陣に追い込む。争点は憲法問題」と強調。維新新人の佐藤浩さん(52)は「船橋で野田元総理は六連勝中であり、野田一強と安倍一強政治は、おごり、独裁につながる」と支持を訴えた。 (保母哲、黒籔香織)
県内小選挙区で最多の五人が立候補し、激戦となった2区。維新新人の藤巻健太さん(34)は、習志野市のJR津田沼駅南口で第一声。真夏のような暑さの中、額に大粒の汗を浮かべながら、重点施策に掲げる「教育の完全無償化」を市民にアピール。「政界勢力図は大きく変わったが、私と維新の会はぶれることはない」と語りかけた。
共産新人の上野洋嗣さん(40)は八千代市の商業施設前で演説し、自民や希望などが憲法九条を含めた改憲を公約に挙げた点に危機感を訴え、「改憲勢力に多数派を占めさせるわけにはいかない」と強調した。
京成八千代台駅前では、民進出身で立民新人の樋口博康さん(58)が「今のおかしな政治を止めるため、力を合わせよう」と声を張り上げた。選挙カーが共産の上野さんの演説の前を通りかかり、「安倍政権を倒すために一緒にがんばりましょう」とエールを送る場面もあった。
希望新人の竹ケ原裕美子さん(46)は八千代市の選挙事務所の出陣式で「産婦人科医として、母親として、市民の声を国政に届ける役割を担いたい」と第一声。ボランティアたちの拍手を受けながら遊説に繰り出した。
自民前職の小林鷹之さん(42)は京成八千代台駅前でマイクを握り、希望の小池百合子代表が示す「日本をリセット」の主張に対し、「とりあえず壊そうというのはあまりに無責任」と指摘。「具体的な処方箋を示すことこそが大事だ」と述べると、市民から大きな拍手がわいた。 (中山岳、美細津仁志)
共産が必勝区と位置付ける13区には四人が立候補した。立民新人の宮川伸さん(47)は午後一時ごろ、印西市の大型商業施設前でマイクを握って「安倍政権を続けさせるのか、終わらせるのかが争点だ」と強調し、安倍晋三首相の政治手法や経済政策を批判。「格差社会をストップさせ、立憲主義と平和主義を国民、市民の手に取り戻そう」と訴えた。前首相の野田佳彦さんも応援に駆け付け「人物本位で選んでほしい。宮川さんには太鼓判を押せる」と声をからした。
県内で唯一の共産前職の斉藤和子さん(43)は、鎌ケ谷市の新鎌ケ谷駅前で第一声。改憲などによって「七十年かけて日本が築いた国際社会に対する信頼を失いかねない」と指摘した。さらに「アベノミクスでもうかったのは一握りの超富裕層。政権にしっかり審判を下し、私たちの生活を守ろう」と呼び掛けた。
自民前職の白須賀貴樹さん(42)は午後五時から同駅前で出陣式。「教育、保育にはお金がかかる。子どもたちの未来のため、大人たちが少しずつ我慢しよう」と消費税率引き上げに理解を求めた。また「国を守ることが政治の一丁目一番地。防衛政策を積み上げてきた自公政権にしか国は守れない」と主張した。
希望元職の水野智彦さん(61)も同駅前で第一声。「疑惑から国民の目を欺くため解散した。安倍自民党に任せたら、この国はどうなってしまうのか」と批判した。消費税率の引き上げ凍結、二〇三〇年に原発ゼロなど五つの公約を示して「しがらみのない改革保守の希望の党に支援を」と訴えた。 (堀場達、林容史)