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茨城

<明日への1票>(上)若者 五輪後 見据えたプランを 小川文太さん(18)

2017年10月4日

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 衆院選が十日、公示される。安倍晋三首相の突然の解散表明に始まり、希望の党の設立、野党第一党の民進党が事実上分裂するなど混乱は続く。それでも、私たちは、「明日への一票」を託す議員を選ばなければならない。「若者」「子育て」「高齢者」の世代が日々の生活から、安倍政権の「四年十カ月」など争点をどう見ているのか、一端を探った。

 八月の知事選で、初の一票を投じた。「以前とは違い、選挙に関心が出てきた。開票状況を見ているだけでも、楽しかった」と、有権者になった喜びをかみしめる。衆院選の投票先も、考えているところだ。

 共働きの両親の下、高校二年の弟と小学五年の妹がいる。親の負担を考え、実家の笠間市から通える茨城大へ進学した。

 日本学生支援機構の貸与型の奨学金を利用しており、月に五万円を受け取る。「ほとんどを授業料に充てて、余ったら、返済時に備えて、ためておくつもり」と話す。

 機構が実施した二〇一三年度の調査によると、奨学金の利用者は、全国で四十二万八千人。総額は千二百十億九千六百万円で、その六割を貸与型が占める。

 貸与型は卒業後に、返還していくことになり、就職しても生活が苦しい人は少なくない。そのため、返還不要の給付型の奨学金の拡充を求める声が根強い。衆院選でも、各党が訴えるテーマの一つになりそうだ。

 「本当に困っている人には、給付型が必要とは思う。でも、ほとんどが給付型になると、生半可な気持ちで、大学に学びに来ることにならないか」と語り、「拡充」は疑問だという。

 安倍首相が成果を強調するアベノミクスなど政権四年十カ月の評価については、複雑な思いがある。

 父親の勤める会社は業績が好調で、新工場を建設すると聞かされている。そのこと自体は素直に喜んでいるが「うまくいっていない会社もあるはず。バランスよく恩恵が及ぶようにしてほしい」と注文を付ける。

 大学卒業は順調にいけば、東京五輪の翌年の二〇二一年三月で、就職先は地方公務員を志望する。

 「五輪特需に沸く間はよくても、その後に経済が冷え込み、将来的に地方の停滞につながるのでは」と不安を感じる。今回の衆院選で当選する議員の任期も、二一年まで。だからこそ「候補者には、地元の実情を頭に入れ、五輪後を見据えたプランを示して」と期待する。

 支持政党は特になく、人物本位で選ぼうと思っている。「約束したことを実行しているかもチェックしたい。駄目なら次の選挙で他の候補者へ入れる」。当選後も、議員の仕事ぶりに注目していこうと今から決めている。 (越田普之)

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