茨城
2017年10月16日
「ガンバロー」の掛け声で、こぶしを突き上げる雨がっぱ姿の運動員(手前)や支持者ら=土浦市で |
衆院選は十五日、選挙サンデーを迎え、各候補者はあいにくの雨の中、街頭で政策を訴え、声をからした。共同通信の序盤の情勢調査で、与党が優勢とされる中、野党勢力の盛り返しはなるか。接戦と伝えられた1区と6区の候補者を追った。 (衆院選取材班)
◆立候補者 【届け出順】
川辺賢一30 幸福実現党県代表 諸新
福島伸享47 (元)震災復興特理事 希<前><2>
田所嘉徳63 (元)法務政務官 自前<2> =公
大内久美子68 (元)県議 共新
四人が立候補した1区。序盤調査で、自民と希望の前職が競るとされるが、それぞれに不安材料もある。
自民前職の田所嘉徳さんは、水戸市のJR赤塚駅近くで演説し「昨日今日できた政党が、緑の独裁者の下でいろいろ画策している。奇策を弄(ろう)して政治を動かそうというのは、わが国にマイナス」と希望の小池百合子代表を批判する。
陣営は組織を固めるが、八月の知事選のしこりを残す。党が擁立し当選した大井川和彦さんに対し、自民の支持基盤の業界団体の多くが橋本昌さんを推した。
自民党県連は、大井川さんを積極的に応援しなかった県議六人に議会の会派の離脱などの処分を出した。業界団体には、県連幹部から上層部の交代を求めるような発言もあった。橋本さんを応援した県建設業協会は「衆院選は従来通り自民支持」などと強調するが、各団体が一枚岩になれるかが焦点になる。
希望前職の福島伸享さんは、雨の中を愛用の三輪バイクで筑西市を移動しながら演説。「安倍首相は権力を私物化している。こうした政治になったのも対抗勢力がないためだ。希望が新しい国民政党になるよう働きたい」と意欲を示した。
前回は共産党の候補者との得票を足せば、自民を上回ったが、今回、野党共闘はない。希望の勢いも落ちている中、連合茨城の推薦を受け浸透を図る。
共産新人の大内久美子さんは、つくば市で党の小池晃・書記局長らと合同演説会に臨んだ後、水戸市に戻って街頭に立った。改憲について「最も問われている問題。子どもや孫に、平和憲法こそ手渡したい」と反対を訴えた。
諸派新人の川辺賢一さんも水戸市内を回り、「日本の防衛と国民主役の経済をかけた選挙。しっかりと主張を訴え、議席を確保したい」と抱負を語った。
◆立候補者 【届け出順】
国光文乃38 (元)厚労省課長補佐 自新 =公
青山大人38 (元)県議 希新
古沢喜幸71 (元)土浦市議 共新
「他の二人は土浦の人。ここでは、まだまだ厳しい戦いです」。自民新人の国光文乃さんはこの日、土浦市内のスーパー前で声を張り上げた。
国光さんは厚生労働省の元技官で、引退した丹羽雄哉元厚相の地盤を引き継いだ。後継選びでは、いったん指名された地元県議が辞退し、別の県議も候補に挙げられた。地元はまとまらず、党本部の主導で「落下傘候補」に決まった。
国光さんは「行く場所によっては今も針のむしろ」と後継選びのしこりを認めながら、「決まった以上は進むしかない。自分を理解してもらい、自民支持層を固めることに尽きる」と語る。支援する市議は、希望の党発足で、自民がまとまることを期待する。「対抗軸ができて、やりやすくなった」
一方、希望新人の青山大人さんは、つくば市内のスーパーで「当選しても地域に住み、地域の未来を語りたい。地元の政治家を育てて」と訴えた。
元県議で二度目の国政挑戦となる青山さんは、民進から希望の党の公認になった。集会では「政党がなくなってしまった」「政党のことは、許してください」とも話す。「党より人」と地元出身を強調し、国光さんに対抗する。
前回の得票数では、丹羽さんが十一万九千で、青山さんの八万五千と、共産の二万五千を合わせれば拮抗(きっこう)し、当初は、野党共闘を模索する動きもあった。
共闘を模索した共産党の地元幹部は「青山さんは、無所属で野党共闘すれば、優位になったはず。自民に取られるよりはいい。6区は候補者を降ろせたのに」と残念がる。
共産新人の古沢喜幸さんはこの日、つくば駅前で党の小池書記局長らと「貧困の連鎖を政治が変えなければいけない」と支持を呼びかけた。