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揺れる各党、焦る選管 県内も実質選挙戦開始

2017年9月29日

衆院解散で選挙準備に追われる横浜市選挙管理委員会

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 衆院選の日程は十月十日公示、二十二日投開票と決まった。急転直下で解散となり、公示まで準備の時間が少ない中、県内の主要政党や関係者は目まぐるしく変わる政局に頭を抱える。情勢は混沌としているが、県内でも立候補予定者が選挙区で街頭演説するなど、選挙戦が事実上スタートした。 (衆院選取材班)

 「本部から何も説明がないし、受け入れられない。ムカッときている」。4区(横浜市栄区、鎌倉・逗子市、葉山町)で出馬する無所属候補が二十七日に自民党に入ったことに、県連の竹内英明幹事長は憤った。4区には既に別の公認候補がおり、県連はこの無所属候補の推薦や入党に難色を示す文書を事前に党本部に送っていた。

 県連は4、8区(横浜市緑・青葉・都筑区の一部)を重点区に位置付け、組織引き締めに走る。8区は出馬が見込まれていた福田峰之・前内閣府副大臣が離党。代わりに決定した候補は8区に地盤がなく「人員を集中的に投入する」(県連幹部)。

 安定した選挙戦を期す公明党も揺れる。県本部の谷口和史幹事長は「どんな状況でも自公協力で勝利を目指す」と話す。一方、別の党関係者は「希望の党が現段階で敵か味方か分からない。状況が不透明だ」と困惑する。

 立候補予定者の離党が相次ぎ、巻き返しを図っていた民進党。党本部は希望の党との合流に活路を見いだすが、現場では方針の練り直しを迫られている。県連の雨笠裕治幹事長は「選対本部の作り方も一から決めていかないと」とため息をつく。二十八日夜に予定されていた県連役員会と選対会議も「現状では議論しようがない」と中止になった。

 各党を巻き込んで「台風の目」になりそうなのは、希望の党。まだ、公認候補者の正式発表がないが、立候補予定の一人は「解散されてから準備しても間に合わない」と、覚悟を決めて準備を進めている。

 共産党は、希望の党を軸とした野党結集の動きから取り残された形となった。候補者の一本化に向け、民進と詰めの協議をしていたが、一気に機運はしぼんだ。県委員会の田母神悟委員長は「一方的に野党共闘の合意を破棄した。これまでの話し合いは何だったのか」と憤り、県内の全選挙区での擁立も検討している。

 県内では社民、自由、幸福実現党なども擁立を目指す。自由党は希望の党との連携も視野に入れている。

 行政も準備に追われる。横浜市選挙管理委員会はポスター掲示板(四千八百カ所)は発注したが、六百カ所の投票所は確保しきれていない。担当者は「運動会や文化祭の季節。投票所にしている学校の体育館を使えないケースも出そう」と気をもむ。七月の市長選では、二重投票や職員が選挙ポスターを誤ってはがすなどのミスが続発しており、再発防止も大きな課題だ。

 混乱する県内政界だが、有権者は冷静だ。横浜市保土ケ谷区の会社員藤田敬一さん(52)は「解散は自民の論理から考えると当然。希望の党は未知数だが、選挙でがらっと変わるとは思えない」と淡々と語った。

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