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神奈川

あす公示 60人前後が立候補準備 選挙区「共闘」進み最少水準

2017年10月9日

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 衆院選が十日、公示される。野党の離合集散の影響があり、立候補予定者の情報は浮かんでは消えを繰り返した。政党間の政策論争も深まっているとは言いがたい。過去の衆院選データ(県内分)などを基に、今回の選挙を展望した。(志村彰太)

 今回、県内は約六十人が出馬を予定。共産、立憲民主、社民の候補者一本化が進んだため、候補者数は小選挙区制が始まって以来、最も少ない水準。

 最多だった一九九六年は、小選挙区制で初めての選挙。次に多かった二〇一二年は、自民と与党の民主(当時)が多くの候補を出し、野党も乱立した。

 神奈川大の大川千寿(ちひろ)准教授(政治過程論)は「今回は候補者がしぼられた分、有権者は選びやすくなった」と指摘する。実際の候補者数は、十日午前八時半〜午後五時の立候補受け付け終了後に判明する。

 短期決戦の衆院選は、その時の「風」で投票率が高まる傾向がある。過去三十年で最高の68・26%だった〇九年は、政権交代した選挙だった。次に高かった〇五年は、小泉純一郎首相が郵政民営化反対派を「抵抗勢力」と呼ぶ「劇場型選挙」が繰り広げられた。

 大川さんによると、政治不信が高まると投票率は反対に下がる傾向があるという。戦後最低の53・88%だった前回(一四年)は「民主が信頼を失い、他の野党も頼りなさを露呈し、有力な対抗軸がない選挙だった」(大川さん)。県内十三の選挙区で勝利した自民も「積極的支持を得たわけではない」と分析していた。

 中選挙区制の時代だが、戦後二番目に低かったのは一九七九年の54・71%。ロッキード事件や自民党内の派閥抗争の激化で、政治不信がまん延。大川さんは「無党派層が意識されるさきがけとなる選挙だった」と話す。さらに、県内では投票日に悪天候が重なった。台風接近で、横浜地方気象台では一日あたり一〇九・五ミリの大雨を記録した。

 それでは、今回の衆院選はどうか。大川さんは「構図が固まるまでの過程がバタバタ。政策も十分吟味されておらず、中身は伴っていない」と語る。短期決戦では特に、候補者や政党は政策よりも、イメージ先行型の選挙を展開しがちで、大川さんは「有権者は公示後の二週間、落ち着いて政策や実績、候補者の中身を見極める必要がある」と、冷静な視点を持つよう訴えている。

◆青柳さんは6区で立憲民主から出馬へ

 神奈川6区で民進党から出馬予定だった前職青柳陽一郎さんが八日夜、横浜市内で記者会見し、立憲民主党公認で立候補する意向を明らかにした。県内の他の元民進党系の立候補予定者は、希望、立憲民主、無所属での出馬を発表しており、青柳さんだけ未発表だった。

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