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神奈川

<注目区を歩く>(中)10区 三つどもえ 戦い激化

2017年10月19日

10区 川崎市川崎・幸・中原区(中東部)

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 当選七回を数える自民前職の田中和徳さんに、希望新人の市川佳子さんと、比例から選挙区に移った共産前職の畑野君枝さんが挑む10区。田中さんが前々回から圧勝を続けており、解散前には野党候補の一本化を目指す動きもあったが、三つどもえの戦いとなっている。 (山本哲正)

【10区】

市川佳子 53 希新 《比》

畑野君枝 60 共<前><1>《比》

田中和徳 68 自前<7>《比》 公

 「自民が圧勝したら森友・加計問題は無かったかのようになる」−。与党優勢の情報が流れた十二日、川崎市幸区の街頭で市川さんは声を張り上げた。安倍政権への批判票を取り込みたいとの思いは強い。

 この日は希望の小池百合子代表が駆けつけたこともあるのか聴衆は約二千人(陣営発表)に。市川さんは「自民は右に寄りすぎ、共産は左に寄りすぎ」と両陣営を批判した。

 今回、民進と共産は候補者一本化を図り、市民グループ「なんてん神奈川10区の会」も両陣営に働き掛けた。しかし、畑野さんは一九九八年の参院選で10区エリアでトップの得票を獲得した実績もあり、市川さんも引けずに難航した。

 市川さんは一本化への動きに不満を抱え、先んじて民進を飛び出し、希望に合流。民進の市議や県議は応援するが、民進支持層の動向までは読めない。支持を広げようと幸区の住宅街などをこまめに自転車で回る。一方、演説では「自民の国会議員の秘書をしていた」と保守層への働き掛けを強める。

 田中さんは前回同様、JR川崎駅など駅頭に立って朝のあいさつや演説に力を入れるが、保守色を打ち出す希望を警戒。

 十二日夜、中原区で開いたミニ集会では、田中さんは与党有利の報道を不安視し「自民の評判は、いまひとつ。『自民の候補に、もうちょっと厳しい対応を』と(有権者の)気持ちが変わったら、状況が変化する。心配だ」と引き締め、希望を「ばらばらの人たち」と批判した。

 畑野さんは、反政権、護憲派の票を一身に集めたい考え。同日、JR武蔵小杉駅前の街頭演説では「私は市民と野党の共闘候補」と強調。地元に向けては「中原区でも行われようとしたヘイトスピーチ(憎悪表現)デモをなくそうという法律を超党派で議論した」などと国会での活動をアピールした。

 「なんてん」も「共闘候補の選択肢だった市川さんが、九条を含む改憲論議に積極的な希望に入ったため、畑野さんで一本化した」としてメンバーが街頭演説に加わる。

 ツイッターでは保守派論客の漫画家小林よしのりさんからのエールも紹介し、党を超えた支持の広がりを目指している。

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