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<注目区を歩く>(下)6区 がっぷりリベラルVS自公

2017年10月20日

6区 横浜市保土ケ谷・旭区

写真

 「リベラル勢力の結集」対「自公協力の象徴」−。6区は、立民前職の青柳陽一郎さんと公明前職の上田勇さんががっぷり四つに組んでいる。報道各社の調査でも情勢は拮抗(きっこう)。互いに複雑な事情を抱えつつ、予断を許さぬ戦いに一致結束して激しい戦いを続けている。 (衆院選取材班)

【6区】

串田誠一 59 維新 《比》

青柳陽一郎 48 立<前><2>《比》

上田勇 59 公前<7> 自

 民進出身の青柳さんが立民から出馬すると表明したのは公示のわずか二日前。「行き場を失ったリベラル層の受け皿になり、勝てる選択肢を有権者に示す」。旭区で開いた集会で説明すると、「どこから出馬するのか」と気をもんでいた支援者から拍手が湧き起こった。

 そこまで判断を遅らせたのは、さまざまな可能性をてんびんにかけたからだ。立民で出馬すればリベラル層の支持を得られる半面、保守層が離れるかもしれない。無所属で出れば比例復活はない。表明が早いと「保守系の対抗馬が出てくる」との情報があった。最後は立民が最善と判断した。

 過去二回、上田さんの後塵(こうじん)を拝しているだけに勝利への執念は強い。街頭では一人一人に駆け寄って握手を求め、野党共闘を掲げる市民団体のメンバーが応援に来れば記念撮影する。「打倒自公」を旗印に、「一強政治の弊害は目に余る」と右派・左派の立場を超えた勢力結集を有権者に呼び掛けている。

 上田さんは八選を目指すベテランとはいえ、今回は危機感が強い。背水の陣を敷くため比例に重複立候補せず、負ければ終わり。「大変厳しい状況。力を貸してほしい」と強調する。

 もう一つ気がかりなのは、盤石なはずの自公の関係に微妙な変化が見えていること。自民支持者から「党の衆院議員がほしい」との声が出ているほか、昨年の参院選のしこりも残る。無所属候補に推薦を出すかで自民が内輪もめし、あおりを受けた公明候補の自民の推薦決定も遅れた。さらに、自民の一部衆院議員が無所属候補の応援に集中し、公明の支援をしなかった。

 公明県本部の幹部は「過去のことは協力関係に影響しない」、自民関係者も「自公の結束を訴えれば保守層の支持が得られる」と衆院選への影響を否定する。

 実際、両者の関係は緊密だ。自民の県議と市議が連日、朝七時から上田さんと駅頭に立ちビラを配る。十四日、応援演説した菅義偉官房長官はこう強調した。「6区は自公連立政権の象徴。総力で応援する」

 激しく争う二陣営を横目に、維新新人の串田誠一さんは、議員定数削減など「身を切る改革」を前面に掲げて支持拡大を図る。「普通の人たちの生活感情に訴えたい」と無党派層の掘り起こしに力を注いでいる。

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