神奈川
2017年10月20日
6月に改正公選法が成立し、定数削減とともに小選挙区の区割りが変更された。県内は定数こそ18で同じだったものの、8つの選挙区で区割りが変わった。有権者、候補者双方にとって未知の顔合わせになる。区割り変更で16区に編入された座間、相模原両市の一部地域を歩いた。 (井上靖史)
「がんばろー!」。公示日の十日、16区の前職が、支持者ら約五十人と一緒に座間市相模が丘で声を張り上げた。二万人近い有権者がいる相模が丘地区は、これまでは13区。「16区は前回、約千五百票差の接戦だった。新しいところでどれだけ取るかがポイント」と、この前職の地元後援会長(76)。別の陣営の関係者は「13区の候補者が力を入れて活動してきた地域。しっかり引き継ぐ」と強調した。
各陣営が新たな票田に期待を寄せるのをよそに、有権者は淡々と受け止めていた。公示日に散歩をしていた福田臣男(とみお)さん(83)は区割り変更を知らず「え、そうなの。地元出身者がいれば入れたいけど」と語った。中盤戦に入っても、五十代の主婦は「区割りが変わったことは夫から聞いた。政党で選ぶので影響はさほど感じない」と冷静に話した。
隣接する相模原市南区の相南(そうなん)の一部と松が枝町も、16区になった。中でも相南は14区のままの地域もあり、市選挙管理委員会は七月、対象エリアの全世帯に変更を知らせる文書を配った。松が枝町の主婦(69)は「14区の時は次男と同じ高校の先輩に入れていた。16区は有名な候補者が多い。実物を見て選びたいので、もっと演説に来て」と望んだ。
区割り変更により一票の格差が是正された半面、自治体の負担は増える。座間市選管は、票の自動分類機一台と付属の機材を約三百四十万円で新たに購入。開票当日は保育士や消防職員らを含め、これまでより約四十人多い二百四十人を動員し、市民体育館のフロアを分けて二つの選挙区の作業に当たる。