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埼玉

希望「合流」公認読めず 民進候補、落ち着かぬ日々

2017年10月1日

 「いつ公認が出るのか」「どの程度受け入れられるのか」−。新党「希望の党」への合流を巡り、民進党から公認を受ける予定だった候補者たちが落ち着かない日々を過ごしている。希望の対応に気をもむ中、早くも離党の意思を示して自ら行動する候補者も。新党からの公認の可否や決定の時期が見通せないまま、十日の公示日が迫っている。 (井上峻輔)

 「希望の党が決めることなので、民進党に聞いても分からないですね」。民進党県連が二十九日夜にさいたま市で開いた立候補予定者や地方議員への説明会。4区新人の吉田芳朝さんは、そう語って足早に会場を去った。

 大野元裕県連代表から合流の経緯が説明されたが、目新しい情報はなかった。この日、衆院選への出馬のため県議を辞職したものの、希望から出られるかは不明。街頭演説などを続けながら、「今は連絡を待つしかない」と語った。

 大野代表らによると、説明会では「いつ公認の内定が出るのか」「どの程度受け入れられる見込みなのか」「現在の候補が公認されなかった場合はどうするのか」などの質問が相次いだ。大野代表は希望から公認を得られなかった場合について「党の決定は希望の党の全面支援だが、県連代表としてはこれまでの人間関係もあるので柔軟に対応したい」と答えたという。

 党幹事長の前職大島敦さん(6区)でさえ、三十日に地元の桶川市で開いた会見で自身の現状を「首を洗っている状態」と表現。党の決定に従って希望の党入りを望みつつ、「公認が得られなかった場合はもう一度考えないといけない」としている。

 こうした中、自ら行動を起こす立候補予定者も出てきた。「党と党でやってもらちが明かない」と15区の元職高山智司さん。既に県連幹部に離党届を突きつけており、「希望の党と、公認を直接交渉する」と息巻く。

 党代表代行の枝野幸男さん(5区)は二十九日夜にさいたま市の事務所で会合を開き、地方議員と今後の対応を協議。会合後、記者団に「私の考え方を伝えて、了解いただいた。具体的な行動はお任せいただいた」と述べるにとどめた。

◆13区候補一本化 共産、社民が合意「護憲の選択肢を」

 民進党の希望の党への合流で野党共闘が難しくなる中、共産党と社民党は、13区(春日部市など)で社民党の新人池田万佐代さんに候補者を一本化することで合意した。三十日にはJR浦和駅前であった共産党の街頭演説で池田さんが「安倍自民か小池新党かと言われるが、憲法を変えさせない選択肢を提示したい」と訴えた。

 両党は民進党を含めて一本化を模索していたが、二党での調整に切り替えた。13区では共産党の新人赤岸雅治さんが出馬を取りやめ、15区では共産党の前職梅村早江子さんを社民党が推薦する。

 浦和駅前での演説に参加した共産党の志位和夫委員長は、希望の党を「安保法制賛成と改憲を主張していて、自民党の補完勢力であることは明らか」と指摘。野党共闘で合意していたはずの民進党の合流を「重大な背信行為」と切り捨てた。 (井上峻輔)

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