• 東京新聞ウェブ

東京

10・10 小選挙区ドキュメント

2017年10月11日

 10日始まった選挙戦で、候補者は何を訴え、有権者はどう受け止めたのか。都内選挙区の一日を追った。

◆9時10分

 希望公認の前職松原仁さんは、JR大井町駅東口の事務所前で出発式。「希望の党は大きな可能性を秘めている」と声を張り上げ、「たたかう庶民派」と書かれた選挙カーで遊説に向かった。通り掛かった品川区八潮の元公務員松田周二さん(68)は「私は安倍首相を辞めさせたい一心。どの政党に入れたら効果的か迷っている」と話した。

◆11時00分

 足立区の東武伊勢崎線西新井駅前の事務所で第一声を上げた自民前職の鴨下一郎さんは「皆さんの意見を聞いて希望を実現するのが保守政治の神髄。しがらみではない」と強調。党都連会長として他候補の応援に行くため「本当は政策をもっと語りたいが」と足早に去った。7月の都議選で落選した同党元都議は「悔しい思いは私だけで結構。大勝利を目指そう」と団結を呼び掛けた。

◆11時10分

 立憲民主公認の元職手塚仁雄さんは、東急東横線学芸大学駅西口で第一声。「政党の状況に翻弄(ほんろう)されたが、真正面から原発ゼロ、教育の無償化を中心に訴える」と締めくくると数人が拍手を送り、「頑張ってよ」と握手を求める有権者も。同じ場所には直前に希望公認の前職福田峰之さんも立っており、ニアミスに。

◆12時00分

 共産新人の青山昂平(こうへい)さんはJR蒲田駅東口で第一声。「8時間働けば普通に暮らせる社会の実現を。格差を生み出す安倍政権の暴走を終わらせよう」と主張した。見守った地元の会社員、下山田千栄子さんは「私の子ども2人も20代で長時間労働に苦しんでいる」と共感していた。

◆13時10分

 自民前職土屋正忠さんは、小金井市のJR武蔵小金井駅南口で「北朝鮮の脅威に向き合えるのは安倍首相だけ。(電力供給は)原発を再稼働して石炭火力を減らす。自然エネルギー転換の現実は厳しい」と訴えた。バス停で聞いていた市内のパート斉藤綾子さん(55)は「そもそも国会を開いてすぐに解散したのは何のためか。北朝鮮が心配なら選挙している場合じゃないはず」と首をかしげた。

◆13時50分

 諸派新人の吉井利光さんは、中野区のJR中野駅南口で「北朝鮮のミサイル問題が何も解決していないのに選挙戦となった。安倍首相ご自身の難局を突破する私利私欲解散ではないか」。聴衆からは拍手が起こり、耳を傾けていた豊島区の心理セラピスト浜名幸子さん(62)は「北朝鮮問題を棚上げした選挙。戦争を止める具体策がない党が多い」と話した。

◆14時30分

 足立区江北の閑静な団地で、公明前職の太田昭宏さんが街頭演説。「政治は結果。仕事ができるかどうかが大事」と実績を強調した。演説を聞いた区内の主婦正崎(しょうざき)真弓さん(33)は、公園の遊具で遊ぶ長男(3つ)を見つめながら「言葉に重みがあった。幼児教育の無償化を一刻も早く成し遂げてほしい」と期待を込めた。

◆17時05分

 東久留米市の西武池袋線東久留米駅前で、希望新人で医師の鹿野晃さんが街頭演説。「医師も政治家も国民を守ることが使命。救急医療システムを改革し、世界一の安心社会にしたい」と訴えた。足を止めた市内の川津瑩子(よおこ)さん(71)は救命講習の受講経験者。「実際に救命処置をすることを考えると不安もある。安心して処置できる態勢をつくり、設備も充実させてほしい」と話した。

◆17時30分

 帰宅する人が行き交う葛飾区のJR金町駅前。共産新人の新井杉生さんは「安倍さんの政治の私物化を、自公の国会議員でいさめる人は誰もいない。憲法九条、暮らしを守ろう」と、比例東京ブロックの同前職、笠井亮さんとともにアピール。闘病のため無職の村山渉さん(38)は「自分は護憲の立場だけど、今回の選挙は三極になって選択しやすくなった」と話した。

◆18時00分

 八王子市の京王南大沢駅前で、立憲民主の新人高橋斉久さんが出陣式。「(枝野幸男代表から)電話をもらい、決断した。すっきりした」と出馬の経緯に触れると、「いいぞ」「勝てるよ」と家路に向かう多摩ニュータウン住民らからエールも。有権者らと握手をして回ると、「よく立憲民主から出てくれた」「枝野さんのファンよ」と声援を受けていた。

◆18時30分

 買い物客や帰宅途中の会社員らが行き交う立川市のJR立川駅北口で、社民新人の小糸健介さんは「戦争は最大の人権侵害。平和憲法を守り、残し、生かす政治を実現しよう。選挙によって政治の私物化を終わらせよう」と声を張り上げた。演説を聞いた同市の主婦(70)は「孫のためにも社会のためにも戦争は絶対にいや。平和憲法を守ってほしい」と話した。

主な政党の公約

新聞購読のご案内