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小選挙区の終盤情勢(18区〜25区)

2017年10月18日

 衆院選(22日投開票)で都内の小選挙区について、東京新聞が実施した電話による世論調査に取材を加え、終盤情勢を分析した。全25選挙区のうち、自公が計18選挙区で当選圏に入っている。多摩地域の八つの選挙区の情勢を紹介する。 (敬称略)

◆18区 先行の土屋、菅が猛追

 先行する土屋を菅が猛追している。鴇(とき)田は苦戦。

 武蔵野市長を六期務めた土屋の信条は「国政は地方にあり」。安倍政権の経済・外交政策への支持と自らの「政策実行力」をアピールする。自民、公明支持層を確実にまとめ、無党派層の取り込みも図る。

 菅は憲法改正の動きを批判、首相として原発事故に対処した経験から「自然エネルギー促進で原発ゼロ」と訴える。武蔵野市長選の元民主都議当選を追い風に、独自候補を見送った共産の支援で支持拡大を狙う。

 元テレビ東京記者の鴇田は知名度アップに懸命。

【18区】

鴇田敦 51 希新 《比》

菅直人 71 立<前><12>《比》

土屋正忠 75 自前<3>  公

◆19区 松本リード、追う末松

 四選を目指す松本が優位に立ち、返り咲きを狙う末松が追う。

 松本は元銀行員。防災担当の内閣府副大臣として危機管理に当たった実績を前面に「責任を果たすことのできる政治を」と主張。末松は外務省職員時代、戦場の悲惨さに触れて平和への思いを強くし、「誠実なリベラルの復活」を掲げる。

 女子美術大非常勤講師の佐々木は、犯罪被害に遭った経験から「安心・安全な社会の構築を」と訴える。杉下は「子どもたちに平和な未来を」と憲法九条の改正反対などを訴え、政権批判票の取り込みを図る。

【19区】

佐々木里加 50 希新 《比》

杉下茂雄 68 共新  

松本洋平 44 自前<3>《比》 公

末松義規 60 立元<5>《比》

◆20区 木原が一歩抜け出る

 四期目を狙う木原が一歩リード。

 木原は「外務副大臣として外交の最前線に立ってきた」と実績を強調。平和を守るための北朝鮮情勢への適切な対応や、高齢者福祉の充実などを訴え、一層の支持拡大を狙う。

 宮本は前回の比例代表で初当選し、今回は小選挙区での挑戦。安倍政権との対決姿勢を鮮明にし、「市民と野党の共闘」を掲げてリベラル層への浸透を図る。

 鹿野は救急医療の専門医として十五年間働いた経験から「一人でも多くの命を救う」と、医療制度改革の必要性を訴える。

【20区】 

木原誠二 47 自前<3>《比》 公

鹿野晃 44 希新 《比》

宮本徹 45 共<前><1>《比》

◆21区 小田原と長島が激戦

 小田原と長島が前回に続いて激戦を繰り広げる。

 小田原は就職率や株価の回復を挙げ、アベノミクスの成果を強調。「自公政権の五年間でようやくまっとうな国に戻ってきた」と政権継続を訴える。

 外交、安全保障政策に通じた長島は、安倍政権の北朝鮮政策を「圧力ばかりでは暴発する可能性があり、大変危険だ」と批判。「必要なのは対話に引き込むための圧力だ」と主張する。

 共産の協力も得て初の選挙戦に挑む小糸は「平和憲法を守る」と訴え、主夫の経験と若さもアピールして支持を広げる。

【21区】 

小糸健介 35 社新 《比》 立

長島昭久 55 希<前><5>《比》

天木直人 70 諸新  

小田原潔 53 自前<2>《比》 公

◆22区 8選へ伊藤が優位保つ

 八選を目指す伊藤が優位を保つ。若いころ夫婦でピザ店を営んだ経験は今も語り草で、金融担当相などの経歴から「経済最優先」「アベノミクスの加速」を掲げる。

 返り咲きを狙う山花は、党への追い風を得て懸命に追う。「安保法制の白紙撤回」「格差拡大のストップ」を公約に、支持層に加えて政権に批判的な無党派層の取り込みを図る。

 阿部は共産支持層、金ケ崎は希望支持層を固めるが、いずれも広がりを欠き、苦戦を強いられている。

【22区】 

山花郁夫 50 立元<3>《比》

伊藤達也 56 自前<7>《比》 公

金ケ崎絵美 41 希新 《比》

阿部真 43 共新  

◆23区 小倉がリードを保つ

 小倉がリードを保っている。町田市の市街地を中心に精力的に遊説。二期の実績を強調しながら、日銀出身らしく「東京を世界一の金融センターに」と金融通をアピール。陣営は引き締めに余念がない。

 追走する伊藤は、元国土庁長官の父・公介氏の支持者を引き継ぎ、原発ゼロや消費税増税凍結など自民との違いを打ち出して無党派層の票の掘り起こしに励む。

 松村は三女を育てる「イクメン」として、暮らしや育児など社会保障の充実を熱心に説き、反自公、反希望のリベラル票の取り込みを急ぐ。

【23区】 

松村亮佑 37 共新  

小倉将信 36 自前<2>《比》 公

伊藤俊輔 38 希新 《比》

◆24区 萩生田が幅広く浸透

 萩生田が安定した戦いで高橋、吉羽、飯田が追う。

 萩生田は「八王子を守り、その延長で日本をよくする」と力説し、幅広い年代から支持を集めて組織を固める。

 高橋は千カ所のつじ立ちを目標に「皆さんが主役の政治を実現する」と訴え、無党派層の取り込みも狙う。

 吉羽は「安倍一強政治を続けるか、不信任を突きつけるか」と選択の重要性を強調、知名度拡大を図る。

 憲法問題を落語で伝える活動を続けてきた飯田は、着物姿で憲法九条の改正反対を訴える。

【24区】 

吉羽美華 37 希新 《比》

萩生田光一 54 自前<4>《比》 公

飯田美弥子 57 共新 《比》

高橋斉久 44 立新 《比》

◆25区 井上信、着実に抜け出す

 六期目を狙う井上信は自転車遊説や個人演説会を重ね「アベノミクスは一定の成果を上げている。景気回復を西多摩、昭島まで広げる」と主張。着実に支持を固めて抜け出しつつある。

 山梨1区から国替えした小沢は地元都議、市議と選挙区内を回り「身を切る改革なしに消費増税をしてはならない」と訴え、知名度を上げてきた。

 山下は地元と縁の深い「多摩っ子」とアピールし、地域の魅力を生かした政治を提言。安倍政権を批判し「国民の暮らしを応援する」と強調する井上宣(たかし)とリベラル層の票を奪い合う。

【25区】 

井上宣 43 共新  

山下容子 58 立新 《比》

井上信治 48 自前<5>《比》 公

小沢鋭仁 63 希<前><8>《比》

写真

<小選挙区の区割り>

◆18区

 武蔵野・府中・小金井市

◆19区

 小平・国分寺・西東京市

◆20区

 東村山・東大和・清瀬・東久留米・武蔵村山市

◆21区

 八王子(南東部の一部)・立川・日野・国立・多摩(北東部)・稲城市(南西部)

◆22区

 三鷹・調布・狛江・稲城市(21区を除く区域)

◆23区

 町田・多摩市(21区を除く区域)

◆24区

 八王子市(21区を除く区域)

◆25区

 青梅・昭島・福生・羽村・あきる野市、西多摩郡

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