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小選挙区の終盤情勢(1区〜17区)

2017年10月18日

 衆院選(22日投開票)の東京小選挙区の終盤情勢について、東京新聞が実施した電話による世論調査に取材を加えた分析では全25選挙区のうち、自公が計18区で当選圏に入っている。多摩地区を除く、17の選挙区の情勢を紹介する。 (敬称略)

◆1区 山田優勢、海江田追う

【1区】

松沢香 39 希新 《比》

原口実季 28 諸新  

山田美樹 43 自前<2>《比》 公

又吉光雄 73 諸新  

海江田万里 68 立元<6>《比》

犬丸光加 57 諸新  

 三選を目指す山田が優勢だ。北朝鮮情勢を踏まえ「経験豊かで安定した政権が必要だ」と強調。外務大臣政務官の経験を掲げるなどで組織票を固めた。

 過去二回、山田と争ってきた海江田は「安倍政権を続けさせない」と連呼。旧民主代表だった前回は比例復活もならなかったが、政権批判票を取り込み雪辱を狙う。

 二人を追うのは、福島第一原発事故の国会事故調査委員会の事務局を務めた松沢。一歳児の母親で、原発ゼロとともに「保育の制度改革」を訴える。

【2区】

辻清人 38 自前<2>《比》 公

松尾明弘 42 立新 《比》

鳩山太郎 43 希新 《比》

 辻がリードし、松尾が追い上げる。辻は北朝鮮への対応で「自公政権が国を守る」と主張する。

 松尾は安倍政権を「おごりがある」と批判。弁護士経験から改憲論議の推進や年金制度の改革を掲げる。共産だけでなく、無党派層の取り込みが鍵を握る。

 鳩山は故・鳩山邦夫元法相の長男。情報公開の推進などで「しがらみのない政治の実現」を訴える。

【3区】

香西克介 41 共新  

石原宏高 53 自前<3>《比》 公

松原仁 61 希<前><6>《比》

 三期連続、四選を目指す石原が公明票も固めて先行する。内閣府副大臣の経験などを強調する一方で、野党批判を展開している。

 石原を追う松原は希望の設立メンバーで「たたかう庶民派」をアピール。「安倍政権で格差は広がった」と批判し、政権交代を訴える。

 三度目の挑戦の香西は、護憲での結集を掲げ、支持拡大を急いでいる。

【4区】 

井戸正枝 51 立元<1>《比》

平将明 50 自前<4>《比》 公

難波美智代 43 希新 《比》

青山昂平 26 共新  

 五選を狙う平が大きくリードしている。元内閣府副大臣として地方創生、国家戦略特区などを担当した経験をアピールする。

 追い上げるのは、五児の母を前面にする井戸。「排除・選別より共生・共感」と訴え、議席をうかがう。

 続く難波はがんの経験を踏まえ、健康教育やいきがいある社会を掲げる。

 二十六歳の青山は、若い世代の代弁者として「八時間働けば普通に暮らせる社会を」と訴える。

【5区】

手塚仁雄 51 立元<3>《比》

福田峰之 53 希<前><3>《比》

若宮健嗣 56 自前<3>《比》 公

 五年ぶりの復活を期す手塚と、四期目を目指す若宮が激しく競り合う。

 「脱原発、安保法反対の信念を貫く」と訴える手塚はリベラル層、共産支持層をほぼまとめた。前防衛副大臣の若宮は、安全保障や社会保障政策を中心に手堅く地盤を固める。神奈川8区から替わった福田は知名度の低さが響く。「しがらみのない政治を」と安倍政権の批判に躍起だ。

◆6区 落合やや優位に立つ

【6区】

越智隆雄 53 自前<3>《比》 公

落合貴之 38 立<前><1>《比》

中岡茉妃 26 諸新  

植松恵美子 49 希新 《比》

 前回比例復活で初当選した落合が、四選を目指す越智と競り合い、やや優位に立つ。「リベラルではないが寛容な保守でありたい」と安倍政権や希望を批判。企業団体献金の禁止などを訴える。

 内閣府副大臣の越智は、「アベノミクスで経済を再生してきた。この流れを止めたくない」と訴え食らい付く。香川県三木町の副町長を九月に辞任して出馬した植松は女性活躍などを訴えるが、浸透していない。

◆7区 長妻に松本が迫る

【7区】 

松本文明 68 自<前><3>《比》 公

長妻昭 57 立前<6>《比》

荒木章博 64 希新 《比》

井上郁磨 26 無新  

 新たな区割りで五つの区にまたがる複雑な選挙区となり、十万人以上の有権者が入れ替わった。元厚労相の長妻が知名度と人気で、やや優位に。立憲民主に加え、共闘する共産の支持層にも浸透する。都議四期、衆院議員三期を務めた松本は、自民支持層の六割を固めて追う。都民ファーストの会代表の父・荒木は「しがらみ政治からの脱却」を唱えるが、苦戦している。

【8区】

木内孝胤 51 希<前><2>《比》

円より子 70 無新  

斎藤郁真 29 諸新  

長内史子 29 共新  

吉田晴美 45 立新 《比》

石原伸晃 60 自前<9>《比》 公

 経済再生相などを務めた石原がリード。自民支持層の八割を固める。吉田は待機児童の解消などを訴え、支持政党なし層への浸透では他の候補者を大きく上回る。

 木内、長内がほぼ互角で後に続く。9区から替わった木内は、財政再建を訴える。若い層の支持を集められるかがカギ。長内は「安倍政権は立憲主義、民主主義を破壊した」と批判する。

【9区】

高松智之 43 希新 《比》

原純子 53 共新 《比》

菅原一秀 55 自前<5>《比》 公

前田吉成 62 無新  

 財務副大臣などを務めた菅原が、六選に向けて大きくリード。ひとり親世帯の雇用拡充や子育て環境の充実を訴え、公明支持や無党派層にも広く浸透する。

 前練馬区議の高松は、消費税増税の凍結などを掲げる。都民ファーストの会の都議らが支援する。

 原は三人の子どもの母。保育士の経験から、認定保育園や学童クラブの大幅増設を公約に掲げる。立憲民主の支持層も取り込んだ。

◆10区 鈴木隼先行、若狭追走

【10区】

若狭勝 60 希前<2>《比》

鈴木庸介 41 立新 《比》

鈴木隼人 40 自<前><1>《比》 公

岸良信 62 共新  

吉井利光 35 諸新  

小山徹 42 無新  

 元経産省職員の鈴木隼がリードし、昨年十月の補選で当選した若狭も善戦。補選では若狭に敗れた鈴木庸が追っている。

 鈴木隼は「認知症予防の活動を全国に普及する」と訴える。若狭は「国会議員の三分の一はいらない」と定数削減を掲げる。元NHK記者の鈴木庸は、年金制度の充実を説く。岸は党豊島地区委員長で「九条改憲許さない」と強調する。

【11区】

宍戸千絵 39 希新 《比》

前田順一郎 42 立新 《比》

下村博文 63 自前<7>《比》 公

小堤東 28 共新  

 下村が地盤を固め、優位に。前田が追い、宍戸と小堤が競り合っている。

 下村は、元文科相として教育無償化などを掲げる。前田は「森友・加計(かけ)」問題を批判し、公認会計士として「平和を守るために経済の安定が必要」と訴える。宍戸は元経産省職員。「しがらみ政治から脱却する」と強調する。小堤は共産系青年団体の都副委員長。「若者の声を国政へ」と奨学金の充実を掲げる。

◆12区 太田が独走態勢に

【12区】

中村勝 66 諸新  

池内沙織 35 共<前><1>《比》

太田昭宏 72 公前<7>  自

 太田が自民の応援を受けて独走態勢。国交相として取り組んだ、防災対策や訪日客増加の実績を力説している。自民支持層の六割超をまとめ、年代別でも広く支持を受ける。

 前回は比例で復活当選した池内は、立憲民主支持の六割も固める。性的マイノリティーの人権問題や、性暴力根絶で論陣を張った国会での経験を強調。市民との共闘を訴え、反与党票の取り込みを図る。

【13区】

祖父江元希 42 共新  

鴨下一郎 68 自前<8>《比》 公

北條智彦 34 立新 《比》

 党都連会長で元環境相の鴨下が、幅広い世代から支持を集めて優位に。区議や各種団体の手厚い支援で支持を固める。

 北條(きたじょう)は八年半の総合商社勤務の経験と若さを前面に出し、「格差是正のため経済政策を根本から変える」と訴える。

 二児の父である祖父江は「子どもを戦場に送り出すのはごめんだ」と改憲反対の立場を強調する。

◆14区 松島、厚い支持で安定

【14区】

矢作麻子 39 希新 《比》

阿藤和之 46 共新  

松島みどり 61 自前<5>《比》 公

清井美穂 54 諸新  

大塚紀久雄 76 無新  

 厚い支持基盤を持つ松島が安定。法相として取り組んだ性犯罪の厳罰化や、安倍政権の実績を掲げて幅広い年代から支持を集める。

 弁護士の矢作は、消費税増税の凍結などを訴えて善戦。無党派層に浸透しつつある。

 阿藤は九条改憲の阻止や消費税増税の中止を力説。共闘する市民団体とともに支持を呼び掛ける。

【15区】

吉田年男 69 共新  

柿沢未途 46 希前<3>《比》

猪野隆 52 無新  

秋元司 46 自<前><2>《比》 公

 国交副大臣などを経験した秋元がリードする。柿沢には過去二回敗れ比例復活してきたが、アベノミクスの成果をアピールし、組織票を固めた。

 民主、みんな、維新、民進など所属を変えてきた柿沢は「身を切る政治改革を進める」と主張。父の故・柿沢弘治元外相時代からの強固な地盤に加え、無党派層の取り込みを狙う。

 これまで江東区長選などに挑んできた吉田は「憲法九条改正や消費税増税は許せない」と訴え、共産支持層を固める。

【16区】 

大西英男 71 自前<2>《比》 公

初鹿明博 48 立<前><2>《比》

田村謙治 49 希元<3>《比》

 先行する大西を、初鹿が追い、田村が続く。

 大西は公明の地方議員らの支援も受け、現職閣僚も相次ぎ応援に入る。

 初鹿は前回、比例で復活当選したが、党勢を伸ばすために「小選挙区での勝利を」と訴える。無党派層からの支持ではリードする。

 官僚、政治家、IT関連企業を経験した田村。小池百合子代表、静岡時代の仲間の細野豪志元環境相の応援で知名度アップを図る。

【17区】 

新井杉生 58 共新  

平沢勝栄 72 自前<7>《比》

西田主税 55 希新 《比》

 知名度、地盤で勝る平沢が安定。都議選での「小池旋風」の再来への強い危機感を強調。組織戦をフルに展開する。

 元環境省職員の西田は、東京電力福島第一原発事故の放射性廃棄物対策に携わった経験から「原発ゼロ」「脱しがらみ」を訴える。

 核兵器廃絶の運動を長年してきた新井は、安倍首相の「政治の私物化」を強く批判、票の上積みを図る。

◆小選挙区の区割り 

【1区】千代田・港(2区を除く区域)・新宿区(10区を除く区域)【2区】中央・港(北東部)・文京・台東区(14区を除く区域)【3区】品川(7区を除く区域)・大田区(北西部)、島部【4区】大田区(3区を除く区域)【5区】目黒(7区を除く区域)・世田谷区(南東部)【6区】世田谷区(5区を除く区域)【7区】品川(北西部の一部)・目黒(北東部)・渋谷・中野(10区を除く区域)・杉並区(南東部の一部)【8区】杉並区(7区を除く区域)【9区】練馬区(中西部)【10区】新宿(北西部の一部)・中野(北部)・豊島(12区を除く区域)・練馬区(東部)【11区】板橋区(12区を除く区域)【12区】 豊島(東部)・北・板橋(北部の一部)・足立区(西部)【13区】足立区(東中部)【14区】台東(北東部の一部)・墨田・荒川区【15区】江東区【16区】 江戸川区(17区を除く区域)【17区】葛飾・江戸川区(北部の一部)

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