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栃木

候補者アンケート 回答分析(下) 割れる原発政策

2017年10月18日

洪水浸水想定区域に保管された指定廃棄物。遮水シートがかけられている=塩谷町で

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 東京新聞宇都宮支局が衆院選県内五小選挙区の立候補者十六人に実施したアンケートで、東京電力福島第一原発事故で発生した指定廃棄物の処理問題への対応では「地元の理解・合意」をキーワードに挙げる候補が目立ったが、具体的な解決策を示した候補は少なかった。原発再稼働への賛否は割れた。地元の課題には人口減や活性化などの回答が多かった。 (北浜修)

自民は賛成4人、野党中心に8人反対

<再稼働> 

 安倍政権下で進む原発再稼働への賛否と理由を五十字以内で尋ねた。自民候補を中心に賛成が五人、野党候補を中心に反対が八人で、三人が「どちらとも言えない」と答えた。

 自民は五人のうち四人が賛成し、「エネルギーの安定確保は国家安全保障に関わる」「重要なベースロード電源だ」などと理由を示した。残る一人は「どちらとも言えない」とし、理由を回答しなかった。諸派候補一人も賛成した。

 反対と答えたのは、公約に「二〇三〇年までに原発ゼロ」を掲げる希望の四人のうち三人と、共産の四人全員、無所属一人。希望候補は「脱原発で経済成長を進める方策はいくらでもある」、共産候補は「福島第一原発の事故原因が不明であり、再稼働は許されない」などと理由を説明した。「どちらとも言えない」とした希望候補一人は「三〇年原発ゼロ」を前提に「十分に安全性が確保される原発は有効利用する」と主張した。

「国の責任」強調も具体策は少なく

<指定廃棄物> 

 県内の農家の敷地などで一時保管され続けている指定廃棄物について、環境省は塩谷町に処分場(長期管理施設)を建設する方針を維持しながらも、地元の反対が根強いことから、新たに農家がいる市町ごとに「暫定集約」する案を示した。この問題の解決法を五十字以内で聞いた。

 塩谷町を含む2区の二候補はいずれも暫定集約を進める姿勢を示した上で、塩谷町での処分場建設には反対した。無所属候補は暫定集約後の保管場所として「福島の中間貯蔵施設、最終的に福島第一原発の未利用地」と具体的に言及した。

 このほか、自民候補の一人は「地元の不安の解消に最大限努力し、引き続き国が前面に立って取り組む」、希望候補の一人は「国の責任で解決。福島の帰還困難区域の土地を買い、暫定集約をしながら考える」と主張した。共産候補四人は「各市町と住民の合意を得ることが何より重要」と強調した。「震災から六年半が経過し、各県一カ所で集約処理する国の基本方針を見直す段階だ」(希望候補)と国に方針転換を求める回答もあった。

人口減少や地方創生

<地元の課題> 

 「あなたの選挙区で最も重要な課題」を挙げてもらい、理由を五十字以内で尋ねた。与野党を問わず「地域活性化」「少子高齢化と人口減少」「地方創生」などの回答が目立ったが、その処方箋としてはさまざまな回答が並んだ。

 自民候補は「国と地方で子育て支援を強化」「地元の中小企業、小規模事業者にきめ細かい支援を行う」などと回答。希望候補は「夢や希望の持てる土壌作りを」「地方分権や規制緩和」などを挙げた。(各候補の回答は十七日朝刊に掲載しました)

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