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栃木

自民堅調、4議席守る 2区は福田さんが制す

2017年10月23日

 二十二日に投開票された衆院選で、県内の小選挙区は自民候補が堅調で1、3、4、5区の四選挙区で当選を決めた。前回二〇一四年と同じ議席数を維持した。安倍晋三首相の「一強政治」に対抗しようと野党再編が進む中、政権の実績を訴える自民が安定した戦いぶりを見せた。無所属の福田昭夫さん(69)と自民の西川公也さん(74)による前職の一騎打ちとなった2区では、福田さんが当選を決めた。ただ、2区を除いて「反自民共闘」は実現せず、野党や無所属の候補者は最後まで厳しい戦いを強いられた。 (北浜修)

 自民は全ての選挙区で前職を擁立した。候補者は政権の経済政策「アベノミクス」の実績や緊迫する北朝鮮情勢への対応などを前面に出し、安定性を求める有権者の幅広い支持や期待を集めた。解散を機に野党再編が進む一方で、陣営や自公政権を支える支持団体の引き締めを図り、しっかりと組織票を固めた。

 自民で議席獲得を決めたのは1区の船田元さん(63)、3区の簗和生さん(38)、4区の佐藤勉さん(65)、現職閣僚で県連会長でもある5区の茂木敏充さん(62)。

 2区は前職の一騎打ちとなった。前回も僅差の勝負を繰り広げた自民の西川さんと無所属の福田さんが競り合い、福田さんが当選を決めた。

 野党再編の流れの中で、民進党県連代表の福田さんは無所属での出馬を選択し、立憲民主、社民の推薦を受けた。共産は非自民勢力の結集を目指して2区で候補擁立を取りやめたため、県内で唯一、自民と非自民候補が一対一でぶつかる構図となった。

 希望は2区を除いて四選挙区に候補を擁立。野党再編の火付け役となった代表の小池百合子東京都知事も応援で県内入りしたが、支持の広がりを欠いた。

 共産も2区を除く四選挙区に新人を立て、改憲阻止などを掲げて政権批判票の受け皿を目指したが、議席獲得はならなかった。

【解説】自民は謙虚な姿勢を

 自民の四議席確保は、候補者らが訴えた政権の経済政策「アベノミクス」の実績や安倍政権の継続を、有権者はおおむね肯定的に受けとめたのだろうか。

 野党側の「敵失」によるところも大きい。「野党再編劇」が迷走する中で、全国では、当初は民進から戦うはずだった立候補予定者らが、希望、立憲民主、無所属に分かれて出た。そこに至るまでの過程は、国民にとって不透明な部分も多く、有権者が失望した側面もあろう。政権与党に相対する側が、逆に与党側に批判材料を提供する結果を招いてしまった。

 県内の小選挙区は、自民は四選挙区で議席を維持したが、謙虚な姿勢が求められる。「森友・加計学園問題」にみられる長期政権の緩みやおごりに対し、有権者の厳しい視線から逃れることはできない。

 自民候補の「当選確実」が早々と伝えられる中、自民対非自民の対決構図が実現した2区は接戦となった。非自民勢力が結集した場合、保守王国といわれる栃木県内でも、自民は厳しい戦いが避けられない現実を突きつけられた形だ。

 東京電力福島第一原発事故で発生した「指定廃棄物」の処理などの問題は、選挙戦では十分に語られなかった面もある。自民はおごらず、民意をくみ取ってほしい。 (北浜修)

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