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解散へ 東京7区ドタバタ 有権者10万人超入れ替わり

2017年9月24日

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 衆議院が28日に解散する公算が大きくなり、立候補を予定する陣営や、各自治体の選挙管理委員会の動きが慌ただしくなってきた。特に東京7区は区割りの変更で、選挙区が大きく再編されるため、票田の新規開拓、投開票所の確保など、それぞれの悩みは切実。対応に追われる現場を追った。(山田雄之、原昌志、神谷円香)

【陣営】名刺配り行脚 「影響大きい」と警戒

 「この地域は次の選挙から7区になります。よろしくお願いします」

 二十三日、新たに東京7区に編入された目黒区中目黒の神社近くで、自民現職の松本文明氏が束になった名刺を配り歩いた。前回は比例復活当選で、小選挙区奪還を期す。例大祭準備で、地元の有権者が集う機会をとらえた。

 7区は中野区と渋谷区の全域が選挙区だったが、区割り変更で、新たに品川、目黒、杉並区の一部が編入する「モザイク選挙区」に。一方で、中野区の一部は豊島区などの東京10区に移り、有権者十万人以上が入れ替わる。

 松本氏から名刺を受け取った人の大半は「え、そうなの」「知らなかった」と驚いていた。松本氏は「区割りが周知されておらず、混乱の選挙になるだろう」と心配げで、「いきなり見ず知らずの人間が候補者として現れることに、有権者も複雑ではないか」と漏らした。

 7区選出の民進党現職、長妻昭氏の陣営は同日、選挙区内の都議、区議を集めた会合を中野区で開き、議員選対本部を発足させた。これまでにない初めての態勢という。

 新たに選挙区になった地域でも街頭演説などに力を入れている。だが議員選対本部長の西沢圭太都議は「中野区の半分が10区に移る。後援会幹部も複数いた地域で、影響は大きい」と話し、「党への批判や新党の動きを考えれば、とても楽観できない」と緊張感を漂わせる。

 また共産党新人の谷川智行氏陣営は「区割り変更への対応は課題。有権者への浸透を進めたい」と話した。

地図を見ながらポスターの掲示場所を確認する選管職員=東京都杉並区役所で

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【選管】整理券送付、投開票所の確保…焦り

 各区の選挙管理委員会も大慌てだ。区内全域が8区に属していた杉並区は、東部の一部地域が7区に編入。突然の解散風に、杉並区選挙管理委員会の石田幸男事務局次長は「衆院選は来年と思っていたので…」と頭を抱えた。

 7区に新設する開票所は荻窪体育館一階の武道場。電源を確保する改修工事は十二月の予定だった。間に合わないため、延長コードで他の部屋から電源を引っ張って対応するという。

 北東部が5区から7区となる目黒区は八月十五日号の区報で変更概要を載せ、周知を始めたばかりだった。区報には、詳細は「次の衆院選の際に」と記していた。選管職員は「急に選挙があると思わなかった」。

 中野区選管は十月二十二日投開票の見通しとなった後、急きょ、期日前投票が始まるまでに有権者に入場整理券を届けるよう複数の業者に依頼した。いずれも「間に合わない」と断られた。担当者は「早く業者を見つけなければ」と焦る。

 北部の一部が3区から7区となる品川区は住民への周知に懸命だ。選挙時の臨時広報紙を通常の二ページから四ページに増やし、投票所の入場整理券が入った封筒は3区は黄、7区はピンクと色分けすることを決めた。

 渋谷区選管は、何とかすべての投票所と開票所を確保した。小学校の体育館などは秋のイベントが予定されていることが多かったが「他の日に」と頼んで回った。担当者は「次は投票所の立会人の確保が大変だ」と話す。

<衆院小選挙区の区割り変更> 衆院の小選挙区定数を6県でそれぞれ1減しながら「1票の格差」を是正する公職選挙法の改正で19都道府県の97選挙区の区割りが変わった。過去最大の区割り変更で、東京の25選挙区は、21の線引きが変わった。23区は選挙区が分割された自治体が5から14に増えた。

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