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「7条解散」消えぬ疑問 「多数派が優位に」「何らかの制限を」

2017年9月24日

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 安倍晋三首相が衆院解散に踏み切ることに対し、野党から「解散権の乱用」と批判が出ている。民進党は衆院選公約に解散権の制約を盛り込む方針。首相に解散の自由裁量があるとの憲法解釈にはかねて疑義が付きまとっている。首相が2014年11月に衆院を解散した際も同様の意見が広がり、国会の憲法審査会でも是非が議論されていた。 (清水俊介)

 解散に関する憲法の規定は二つある。一つは六九条。衆院で内閣不信任決議案が可決または内閣信任案が否決された時、内閣は「十日以内に衆院が解散されない限り、総辞職しなければならない」と定め、解散の要件を明記している。

 これに対し、不信任案が可決されていないのに解散できる根拠になっているのは、天皇の国事行為を定めた七条。「内閣の助言と承認により行う行為」の中に衆院解散が含まれており、事実上は首相に解散権があると解釈されているが、自由裁量の明文規定はないため論争が起きている。

 先の通常国会の衆院憲法審査会では、民進党の枝野幸男氏が七条解散について「認める意義は乏しい。内閣と政治的に一体の議会の多数派が、その優位性を強めるための解散は、有害である可能性すらある」と主張した。参考人の木村草太・首都大学東京教授は「党利党略での解散を抑制するため、解散権には何らかの制限をかけていくことが合理的だ」と陳述した。

 与党では、公明党の北側一雄氏が「党利党略による解散は妥当ではないが、その判断は国民に委ねられている」と指摘。「(直前の)総選挙で争点とならなかった重大な政治課題について、新たに国民の信を問うことは認められるべきだ」と唱えた。自民党の中谷元氏も解散権の合理性に関し「最新の民意を衆院に届ける側面もある」と強調した。

 諸外国で解散権を制限した最近の具体例は、二〇一一年に施行された英国の議会任期固定法。首相の解散権を封じ、例外として下院の三分の二以上の賛成で解散は可能と定めた。メイ首相は今年五月、欧州連合(EU)離脱に向けた政権基盤の強化を理由に、下院の賛成を得て解散した。

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