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国会論戦を経ず解散 戦後初 野党の開会要求98日放置

2017年9月27日

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 安倍晋三首相は二十八日召集の臨時国会冒頭で衆院を解散する。国会召集直後の「冒頭解散」は二十一年ぶり、戦後四回目となる。その中でも今回はさらに異例中の異例となる。改造内閣を含む新内閣が、本格的な国会論戦を経ずに解散するのは戦後初だからだ。 (中根政人)

 憲法に基づく野党の臨時国会開会要求から九十八日も放置した末の解散となり、野党は「暴挙だ」と批判を強めている。

 衆院事務局などによると、戦後の冒頭解散は一九六六年、八六年、九六年の三回。いずれも首相の演説や各党代表質問は実施せずに、国会召集直後に解散した。この点は今回も同じになる見通しだ。

 最大の違いは、解散前の国会での首相演説や質疑の有無だ。過去三回は首相が内閣改造や新内閣発足の後に国会で演説し、質疑を受けた。解散は、その後に召集された国会で行われた。

 一方、安倍首相が「仕事人内閣」と銘打った改造内閣は八月三日に発足した後、国会での審議は一部委員会の閉会中審査に応じただけ。首相自身は本格的な国会論戦に臨むことなく、解散に踏み切る。

 八割近くの国民が「説明に納得できない」とする森友・加計(かけ)問題の追及も避ける。与党幹部は「予算委員会で首相出席の閉会中審査を開いたので問題ない」と主張するが、審議は内閣改造前に、衆参の予算委で七月二十四日、二十五日にそれぞれ行われただけだった。

 「憲法軽視」も過去に比べて著しい。八六年、九六年の冒頭解散に先立ち、野党は憲法五三条に基づき臨時国会の開会を求め、それぞれ七日後、十八日後に国会が召集された。今回は野党が六月二十二日に召集を要求して以来、政府はこれを無視し続け、九十八日後に解散されることになる。

 五三条は臨時国会について、一定数の議員の要求があれば「内閣は、その召集を決定しなければならない」と定める。期限に明確な規定はないが、三カ月以上、要求を無視した例は過去二十年にはなかった。安倍政権は二〇一五年秋にも臨時国会の召集要求を受けたが、年明けの通常国会開会まで要求を拒否し続けた。

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