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冒頭解散「憲法と立憲主義の危機」 憲法学者ら89人緊急声明

2017年9月28日

緊急声明を発表する稲正樹・元国際基督教大教授(中)ら=27日、東京都千代田区で

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 安倍晋三首相が臨時国会冒頭での衆院解散を表明したことに対し、憲法研究者有志八十九人が二十七日、「解散、総選挙に至る手順は議会制民主主義の趣旨にそぐわない。この選挙は憲法と立憲主義を危機にさらすものだ」とする緊急声明を発表した。賛同者は一橋大の杉原泰雄名誉教授や学習院大の青井未帆教授ら。

 声明では、野党の臨時国会開催の要求を放置してきたことは、少数派の意見も反映させて国政を進める議会制民主主義の趣旨に反すると指摘。実質審議なしの冒頭解散は、政治の私物化が疑われる森友・加計(かけ)問題の疑惑追及について、安倍首相が「丁寧に説明する」とした国民への約束を破る暴挙だと批判している。

 今回の解散は、解散を決めてから選挙の争点を設定しており、解散権行使の乱用で、憲法の趣旨に違反すると主張。総選挙では改憲が争点にされるとし、安倍首相が提案した憲法九条への自衛隊の存在の明記は、憲法の平和主義への大きな脅威だとも訴えている。

 呼び掛け人の一人、稲正樹(いなまさき)・元国際基督教大教授らが東京都内で会見。稲氏は「選挙の争点は、特定秘密保護法や安全保障法制、共謀罪法などを乱暴な国会運営で成立させてきたこれまでの安倍政治をどう判断するかだ」と話した。

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