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2017年9月29日
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衆院が解散され、選挙戦では消費税増税が大きな争点となる。安倍晋三首相は借金返済に使う予定だった消費税の増収分を教育に回す方針を掲げ、希望の党代表の小池百合子都知事は増税そのものに慎重だ。一方、「経済成長と両立する」としていた政権の財政再建の道筋は手詰まりで、各党の主張からも対案は見えてこない。 (桐山純平、白山泉)
現在の日本は借金をしなければその年の政策を行えない状態で、家計の収入に当たる税収を増やすなどして借金を不要にすることが求められている。安倍政権は経済成長によって税収を増やし、国の財政状況を改善させる方針を掲げる。その方法として、年度途中に補正予算を編成し、経済対策の名目で公共事業などの支出を追加してきた。
四回の経済対策では約二十四兆円を費やした。税収は二〇一二年度から四年間で十二兆円ほど増えたが、多くは一四年四月に5%から8%に税率が引き上げられた消費税の増税によるものだ。増加を期待していた法人税収は伸び悩み、一六年度の税収は七年ぶりに前年を下回った。
日本総研の湯元健治氏は「経済対策の効果は年々薄れている。不必要な経済対策に税金を使わなければ、財政再建目標の達成に近づいていたはず」と指摘する。政府は、二〇年度までに借金に頼らず税収だけで政策を実施する目標を掲げていたが、衆院解散前から目標達成は不可能とみられていた。
安倍首相は突然表明した消費税増税の使途変更を、衆院解散の理由に挙げ、同時に財政再建の目標も撤回。「財政再建の旗は降ろさない」と主張しているが、新たな目標は示していない。
消費税増税の使途変更に対抗する形で、希望の党の小池氏は一九年十月に予定される8%から10%の税率引き上げには慎重姿勢をみせる。二十八日の会見では、増税するかどうかは景気の状況に応じて判断するべきだとの考え方を示した。
財政再建については小池氏は「重要な課題」としながらも、「国の保有している資産を整理をするというのも一つではないかと考えている」と述べるにとどまっている。