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4つの争点 課題は

2017年9月29日

 衆院が二十八日に解散され、十月二十二日の投開票に向けて各党の政策論争が本格化する。有権者が一票を投じる判断基準はさまざまだが、本紙が「衆院選で問われるもの」として設定した四つの争点について、課題や対立軸を整理した。 (清水俊介)

■憲法

 安倍晋三首相は今年五月、憲法九条に自衛隊を明記する改憲を提案し、二〇二〇年の施行を目指す考えを表明した。首相が改憲の具体的な日程に言及したのは初めて。自民党は年内に具体案を固め、来年の通常国会で発議を目指す方針を確認。改憲勢力が発議に必要な三分の二以上の議席を衆参両院で占めていたため、発議は現実味を帯びた。

 解散で衆院の三分の二は白紙に戻り、自民党案もまとまらないまま選挙戦に突入する。首相は解散を表明した記者会見で改憲に触れず、消費税収の使途変更と北朝鮮への対応を争点にすると説明。自民党公約でも、改憲は曖昧な表現にとどまる見通しだ。

 だが、自民党は来年の発議と二〇年施行の目標を変えていない。衆院選の結果次第では、首相が再び改憲に向けた動きを強める可能性もあり、有権者にとっては是非を考える機会だ。

■4年10カ月

 安倍政権は一二年末に発足し、戦後の歴代内閣で三位となる長期政権を築いている。首相が一貫して重視してきたのは、米国との軍事的連携や情報管理を強化する政策。次々と実行に移し、日本の外交・安全保障政策を大きく変質させた。

 最たる事例が安全保障関連法だ。憲法の平和主義を逸脱するとの指摘が相次ぐ中、歴代政権が違憲と解釈してきた集団的自衛権の行使を認め、自衛隊が世界規模で米軍を支援できるようにした。

 安倍政権は国民の「知る権利」を侵す恐れが懸念される特定秘密保護法、犯罪の合意を処罰する「共謀罪」法も制定した。衆院選では、政権の姿勢そのものが争点になる。

■原発

 安倍政権は原発を「重要なベースロード(基幹)電源」と位置付け、再稼働に積極的だ。東京電力福島第一原発事故後、一三年に導入された新規制基準に「適合」したのは六原発十二基。このうち、今は三原発五基が再稼働している。

 「希望の党」代表の小池百合子東京都知事は、二〇三〇年までの「原発ゼロ」を掲げる意向を表明。民進党の「三〇年代」を前倒しした内容で、自民党との大きな対立軸が浮上した。

■くらし

 国民生活に直結する社会保障や子育て、経済政策は常に大きな争点だが、今回は首相側が幼児教育の無償化を公約した。二〇一九年十月に消費税率を10%に引き上げた際、増収分のうち約二兆円を無償化に充てると約束。財政再建を後回しにする意向も示した。小池氏は「消費を冷え込ませる」と増税そのものに慎重な姿勢を見せ、共産党は増税に反対しており、議論が過熱しそうだ。

 政権の経済政策アベノミクスについては、どこまで国民が恩恵を受けているのかは見方が分かれており、選挙戦で各党が主張をぶつけ合うことになる。

主な政党の公約

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