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経済「改善」程遠く 雇用、安倍政権以前から上昇 

2017年9月30日

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 衆院解散から一夜明けた二十九日、生活に関わる最新の経済統計が相次いで発表された。消費は小幅ながら改善し、雇用も高い水準を維持する結果となった。だが、長期でみると、消費は二〇一四年四月の消費税増税の影響もあって低水準が続くなど、安倍政権の経済政策で状況が改善したとは言いがたい。 (渥美龍太、白山泉)

 八月の家計調査(二人以上の世帯)によると、世帯あたりの消費支出は二カ月ぶりに前年同月を上回った。物価影響を除いた実質で0・6%増の二十八万三百二十円となった。だが、消費の好不調が分かる消費支出の実質指数の方でみると、一四年の消費税率の引き上げ後、個人消費は低い水準で停滞している。

 「お客さんは生活不安を抱え消費が弱い」と小売業界の関係者。立命館大の松尾匡(ただす)教授(理論経済学)は「所得は少しずつ上がっているが、所得が増えた分を貯蓄する傾向にある」と停滞の背景を説明する。

 一方、職を求める一人にどれだけ求人があるかを示す八月の有効求人倍率は一・五二倍と前月から横ばいで、バブル期並みの高水準を維持した。リーマン・ショックの影響が一段落した〇九年から上昇を続けており、安倍政権の発足前から基調はほぼ変わらない。元日銀理事の早川英男氏は「この間の経済成長はわずか。アベノミクスの成果と言うよりも団塊世代の退職などで労働供給が減少した影響」と説明する。

 経済の停滞から脱却したかの目安となる物価の動向では、八月の消費者物価指数(生鮮食品除く)は前年同月比0・7%上昇となり、伸び幅は前月より0・2ポイント拡大した。ただ、物価上昇を担う日銀が掲げた2%の目標にほど遠い。

 上昇の主因は原油価格の上昇に伴う電気・ガス料金の値上がりで、庶民の生活に悪影響が大きい。エネルギー価格の上昇を除くと、実質0・2%上昇にとどまる。

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