全国
2017年10月2日
「リセット」「アウフヘーベン」「ワイズ・スペンディング」。小池百合子東京都知事が新党「希望の党」設立を巡る記者会見などで「カタカナ」外国語を多用する場面が目立っている。カイロ大卒で、英語やアラビア語が堪能な小池氏特有の言い回しだが、哲学用語など一般の人には理解しにくい言葉もあり、識者は「有権者により分かりやすい言葉を使うべきではないか」と指摘する。
九月二十五日、小池氏が新党結成を宣言した記者会見。「またアウフヘーベンなんて言葉を使っちゃうと何か思い出されるかもしれないけど…」。側近の若狭勝氏らが進めてきた新党準備と、自身の代表就任との関係を問われると、この言葉を持ち出した。
アウフヘーベンは「持ち上げる」という意味の一般的なドイツ語だ。広辞苑では「止揚(哲学用語)ヘーゲルの用語。(中略)矛盾する諸契機の発展的統合」と記載されている。
小池氏は懸案だった築地市場から豊洲市場への移転判断を巡ってもこの言葉を使ってきた。六月の会見で「立ち止まって、より上の次元に。全部含めてどう判断するか、そのためのアウフヘーベンが必要だ」と述べた。その後「豊洲か、築地か」ではなく「豊洲移転と築地の跡地再開発」という共存案を打ち出した。
「日本をリセット」「文部科学行政こそリセット」。二十五日に希望の党を結党以来、象徴的な言葉として、刷新をイメージさせる「リセット」は繰り返し使っている。
税金の賢い支出という意味の「ワイズ・スペンディング」もお気に入りの言葉だ。昨年八月の知事就任後、都政運営の柱に掲げ、希望の党の綱領にも盛り込まれた。
名古屋外国語大の高瀬淳一教授(情報政治学)は「自らのイメージを高めるため、戦略として使っているのではないか」と分析。その上で「今後全国にメッセージを伝える上では、より分かりやすい言葉を使わないといけないのではないか」と指摘している。