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消費増税 安倍政権、使途変更へ 財政再建に遅れ

2017年10月4日

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 十日公示の衆院選では消費税増税についての考え方も争点の一つです。自民党の安倍晋三首相は、「社会保障と税の一体改革」で決まっていた増税分の使い道を変え、幼児教育の無償化などに充てることを明言しました。一体改革の中身を整理しました。 (桐山純平)

 Q 一体改革はいつ決まりましたか。

 A 二〇一二年です。当時与党の民主党と、野党の自民・公明の三党が、消費税率を5%から10%に段階的に引き上げることで合意しました。増税の目的を、社会保障(子育て、医療、介護、年金)の財源確保と、その費用に充てられている借金返済のためとしました。使い道を社会保障に限定することで、増税への抵抗感を和らげる狙いがありました。

 Q 一九年十月に予定される、税率8%から10%への引き上げ時の使い道は。

 A 政府は増収分を五兆円強と見込んでいます。そのうち、一兆円余りを社会保障の拡充、四兆円近くを借金返済に充てる計画です。

 Q その計画を安倍首相はどう変えるの。

 A 借金返済の分の四兆円の一部を、三〜五歳の保育料の無償化(約七千三百億円)や大学授業料の負担軽減などの費用に充てようとしています。借金返済に回るお金が減るので、将来世代の借金返済の負担を軽くする財政再建は遅れることになります。

 Q 与党以外の主な党はどんな考えですか。

 A 新党の「希望の党」と「立憲民主党」のほか、共産党と社民党も景気への悪影響から、増税に凍結か反対の考えです。ただ、財政再建が進まないことでは与党と同じです。

 国の一七年度予算で社会保障費は約三十二兆円あります。今後、第二次世界大戦直後に生まれた「団塊の世代」の高齢化が進み、医療・介護費の急増が見込まれています。それなのに、将来世代の負担を軽減するための道筋は、どの党も明確に示していません。

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