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2017年10月6日
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希望の党が衆院選で、民進党出身者に対し公認の条件として「寄付金」名目で前職は二百万円、元職や新人は百万円の提供を求めていることが分かった。公認は百十人を超え、寄付金は総額約一・五億円に上るとみられる。民進前職らには、衆院解散前後に民進から選挙資金一千万円以上が支払われている。公金である政党交付金を中心とする民進の資金が、公認と引き換えに希望に流出していく仕組みとなっている。 (我那覇圭)
関係者によると、民進は希望の要請に基づき、民進前職らに「希望の公認申請手続き」を伝達。希望側は民進への離党届提出、政策協定書への署名に加え、「寄付金」を比例代表の供託金(三百万円)と合わせ支払うように指示した。
寄付金は前職が二百万円、元職や新人は百万円と明記された。振込先は希望の会計担当者の口座で、第一次公認が発表された今月三日までが期限とされ、事実上、送金が公認の条件となっていた。
希望は五日までに、民進から立候補予定だった前職四十五人、元職や新人計六十七人を公認しており、寄付金を単純に積み上げると一億五千万円を上回る。
比例代表一人につき三百万円の供託金分は、党が一括して国に渡すが、議席獲得数に基づき党に返還される。各候補者に戻らなければ、その分も希望の資金となるとみられる。
民進に残る約百五十億円とも言われる資金は、多くが国民の税金をもとにした政党交付金だ。国政選挙で得た議席数などで算出されている。法的には、民進から希望に直接資金を提供することも規制がないが、両党幹部は、露骨な手法は批判を受けると懸念したとみられる。
公認候補を通じた「迂回(うかい)」について、民進の前原誠司代表は「民進が希望に渡すわけではない」と強調している。
民進党役員室は、前職らに渡した政治活動資金の金額や使途などについて「公表は控える」と本紙に文書回答した。