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賃上げ・投資へ「内部留保」着目 「二重課税」の反発も

2017年10月7日

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 希望の党は企業が蓄えているお金に課税する「内部留保課税」の検討を公約に掲げた。税収の確保と同時に、企業に投資や賃上げを促す狙いがある。

 内部留保とは企業が法人税を納め、配当を支払った後に残る利益の蓄積。大半は企業が保有する口座にある現預金だ。

 安倍政権は法人税の減税に踏み切ったが企業の賃上げや投資に勢いがつかず、企業は内部留保を積み上げた。二〇一六年度(法人企業統計)には四百兆円を超え、過去最高を更新した。

 もし内部留保に1%の税金をかければ単純計算で四兆円の税収を得ることができる。消費税率に換算すれば1・5%分の税収だ。

 ただ企業が既に税金を払った後の利益にさらに課税するため、企業からは「二重課税だ」との反発が出ることも予想される。一方で「内部留保が増えた背景には(企業が賃金を増やさず)労働者への分配を抑えてきた側面もある。税金として還元してもらうことは重要」(企業会計に詳しい醍醐聡・東大名誉教授)と賛成する意見もある。

 企業が内部留保に回す現預金を増やしていることに対しては麻生太郎財務相も六日の記者会見で「お金を将来に向かって投資していくという姿勢が最も問われている」と発言するなど、企業をけん制している。

 海外では、韓国が企業が法人税を支払った後の利益の一部に課税している。ただ企業はこの課税を嫌って株主への配当を増やしただけだった、との指摘もあり、内部留保課税が投資や賃上げにどれだけ効果を発揮するかは見えにくい。

 希望の党は資本金一億円以上の企業を対象に内部留保課税を検討するが、公明党も「内部留保を『見える化』する方策を検討」。共産党は大企業に内部留保の「賃上げへの活用を求める」と主張する。 (白山泉)

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