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ユリノミクス 財源規模触れず

2017年10月7日

 希望の党の小池百合子代表は安倍政権の経済政策「アベノミクス」に対抗する形で、希望の党の経済政策を「ユリノミクス」と名付けアピールした。金融政策の維持などアベノミクスの路線を維持しつつ、消費税増税の凍結や、最低限の生活を保障するために国民に一定額の現金を配る「ベーシックインカム」などを盛り込んだ。ただ必要な財源の規模には触れず、実現には懐疑的な見方もある。

 アベノミクスは金融緩和で円安の進行を誘導しつつ、公共事業など政府の支出を増やし経済の成長を目指す政策。小池氏は「アベノミクスに加え人々の気持ちを盛り込んだ」とユリノミクスの理念を説明した。

 希望の党の政策集では日銀の金融緩和について「過度に依存せず」としながらも「当面維持」を明記。その上で二〇一九年十月に予定される10%への消費税率の引き上げ凍結を掲げるなど、消費増につながりそうな政策をちりばめた。

 ただ希望の党は現時点でこれらの政策の実行に必要な金額を示していない。消費税増税の凍結の代わりに、大企業の利益から税金を取る「内部留保課税」を創設する方針を示したが、その効果は未知数。みずほ証券の末広徹氏は「さまざまな政策をかき集めているが、総じてみると実現には無理がある」とみる。

 また希望の党は「民間の活力を引き出す」とし、規制緩和にも力点を置く。アベノミクスが規制緩和に「踏み込み不足」と経済の専門家から指摘されてきたため自民党との違いを強調した形だ。だが「改革」として挙げた政策も、人工知能(AI)の活用など安倍政権の複写も目立つ。第一生命経済研究所の熊野英生氏は「希望の党の経済政策はアベノミクスの延長線上にあるともいえ、改革につながる中身にはなっていない」と指摘した。

 立憲民主党の枝野幸男代表は民主党政権の経済産業相を務めたころ、経済成長に過度に依存しない政策を提唱。一部で「エダノミクス」と呼ばれた。今後、各党は選挙戦でそれぞれの経済政策を訴えることになる。 (桐山純平、白山泉)

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