• 東京新聞ウェブ

全国

有権者 見極める1票 生活平和 政策問う

2017年10月11日

 9条改憲や原発政策の是非、くらしに関わる経済政策などが争点の衆院選。憲法9条に明記するかどうかが問われる自衛隊の駐屯地や、工場閉鎖に揺れる街で公示日の表情を追った。(土門哲雄、望月衣塑子)

◆「景気回復実感ない」狭山 ホンダ閉鎖

 大手自動車メーカーのホンダ狭山工場(埼玉県狭山市)。今月初め、二〇二一年度をめどに工場を閉鎖し、寄居工場(寄居町)に集約すると発表された。十日の昼、目の前の食堂は工場関係者とみられる作業着姿の客がまばらだった。

 四十年以上営業を続ける店主の片岡忠男さん(69)は「寮から送迎バスで通い、工場に食堂もある。外食してくれる人は減った」と嘆く。政府は雇用が改善したと言うが、非正規従業員が多く、節約志向は強いと感じる。「生活が良くなった実感はない。政治家は税金を無駄遣いせず、苦しい人に目を向けて」

 狭山工場は従業員約四千六百人。通勤途中の大学講師藤本一美さん(69)は「市の税収が心配。にぎわいもなくなる」。電動自動車の開発競争が進む自動車業界。工場から出てきた関連会社の男性(48)は「合理化が必要なんだろう」と話した。

◆「9条議論尽くして」練馬 陸自駐屯地

 午後三時すぎ、陸上自衛隊の第一師団司令部などがある練馬駐屯地(東京都練馬区北町)の正門前の道路を、自衛官を乗せた三台のトラックがゆっくりと通り過ぎた。荷台には二十人ほどの自衛官が両サイドに並んで座っている。訓練後なのだろうか、疲れた様子にも見える。

 駐屯地の写真を撮影していると、腕章を着けた自衛官二人が身元確認で近づいてきた。憲法九条に自衛隊を明記する是非を尋ねると「自分の立場では発言できない。広報を通して」と言って引き返していった。

 車いすで散歩中の練馬区北町の無職横田進さん(65)は「必ずしも九条を変える必要はないが、尖閣諸島を守る意思を示すことは必要だ。首相は交代した方が良いが、政権を担えるのは自民党しかないのでは」。板橋区成増の会社員山本肇さんは「九条改憲は議論を尽くし、国民に是非を問うべきだ」と声を強めた。

主な政党の公約

新聞購読のご案内