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候補者 論戦スタート 3極激突 首都決戦

2017年10月11日

 目まぐるしく動いた衆院選の構図は、三つの極に集約され、安倍晋三政権の四年十カ月を問う論戦が始まった。一九九六年の小選挙区制度導入以降、全国各選挙区の「一丁目一番地」と呼ばれる東京1区。これまで自民が四勝、旧民主が三勝と拮抗(きっこう)する激戦区だが、希望が参入し事実上の三つどもえに。同12区は公明と共産などが議席を争う。公示された十日、二つの選挙区を追った。

◆東京1区

希「政治を変える」

自「政権に託して」

立「安倍政権倒す」

 「政治を変えなくてはならない、と強い思いを持って立候補した」。希望新人の松沢香さん(39)は東京都港区の商店街前で午前十一時すぎに第一声。党代表の小池百合子都知事は「こんなピカピカの女性が手を挙げてくれた」と紹介。その上で「今回の解散は安倍ファースト解散だ」と、安倍政権への対決姿勢をむき出しにした。

 1区では二月の千代田区長選で小池氏が支援した現職が圧勝、七月の都議選でも小池氏が率いた都民ファーストが自民都連重鎮の後継者を破るなど躍進した。

 ただ、公認決定がずれ込み、事務所開きは公示日当日という慌ただしさ。女性運動員の足元は、歩き回るには不向きなハイヒールも目立つ。

 自民前職の山田美樹さん(43)は午後零時半、新宿区の選挙事務所前で出陣式に臨んだ。閣僚など要職を歴任した故与謝野馨氏の後継者。同区では二連勝中だが、今回は森友・加計(かけ)学園問題などの影響もあって、政府・与党に対する風当たりは強い。集まった支持者らからは「負けるな」との声も飛ぶ。

 山田さんは「今必要なのは分裂や排除ではなく団結、結束だ」と、合流問題でごたついた希望、立憲民主の両陣営を批判した。

 応援演説した菅義偉(すがよしひで)官房長官も、希望には「自分たちの看板政策を投げ捨てた人が入った」、立憲民主には「希望に入れない人たちでつくった」と皮肉り、「安定した自公政権に託してもらいたい」と力説した。

 立憲民主から出馬した元職の海江田万里さん(68)は午後一時ごろ、港区の地下鉄駅前で、枝野幸男代表とともにマイクを握った。旧民主党代表だった前回は、比例復活もできず議席を失い、雪辱を期す。

 「安倍政権を倒す絶好のチャンスだ」「国民の意思を無視し、憲法を無視してきた」と安倍政権批判に大半を費やした。枝野代表はがっちり握手し、「私の背中を押した同志」と持ち上げた。

 共産が候補者を取り下げ、海江田さんに一本化。政権批判票の結集を狙うが、党の旗も間に合わないまま選挙戦に突入。陣営スタッフは「展開が急で読みも戦略も立てようがない」と漏らした。  (神野光伸、荘加卓嗣、中沢誠)

◆東京12区 

共「野党共闘」前面

公「自公しかない」

 希望、立憲民主とも擁立を見送った東京12区。前回比例復活当選した共産前職の池内沙織さん(35)は「野党共闘」を前面に出した。午前十時、北区の選挙事務所前での出陣式では「市民と野党の手に政治を取り戻そう」と呼び掛け、約四分の演説中に「共産党」に触れたのは自己紹介程度に抑えた。陣営幹部は「政府批判票の受け皿になる」と期待を込めた。

 一方、公明前職の太田昭宏さん(72)は正午すぎに北区のJR駅前で「北朝鮮問題の解決、少子高齢化社会への対策は、自公政権しかない」と訴えた。

 公明は七月の都議選は自民との協力関係を解消して戦ったが、この日は自民の鴨下一郎都連会長(68)が並び「自民が全ての力を注ぎ込んででも当選してもらいたい。自公が東京全体で勝利するための象徴的な選挙区」と連携を強調した。 

  (中村真暁、松村裕子)

◇東京1区(届け出順)

松沢香 39 希新 《比》

原口実季 28 諸新  

山田美樹 43 自前<2>《比》 公

又吉光雄 73 諸新  

海江田万里 68 立元<6>《比》

犬丸光加 57 諸新  

◇東京12区  

中村勝 66 諸新  

池内沙織 35 共<前><1>《比》

太田昭宏 72 公前<7>自

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