• 東京新聞ウェブ

全国

「共謀罪」賛否アンケート 希望・公明・維新 回答なし

2017年10月12日

 市民団体「共謀罪廃止のための連絡会」は衆院選公示前に各政党などに対し、「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ改正組織犯罪処罰法への考え方を問うアンケートを行った。希望の党は回答しておらず、連絡会は「有権者に見解を知ってもらいたかったのに政党としていかがなものか」と批判した。

 アンケートは自民党、希望、公明党、共産党、立憲民主党、日本維新の会、社民党、自由党、沖縄の風を対象に郵送で実施。「廃止に賛成か否か」を聞いた。結果は九日に公表した。

 自民は「廃止・修正する必要はない」と回答。理由を「国際組織犯罪防止条約の締結には国内法の整備が不可欠」とした。

 これに対し「廃止に賛成」としたのは、立憲民主、共産、社民、沖縄の風。このうち立憲民主は「自由な議論を抑圧し萎縮させ、戦争できる社会への国内体制づくりの一環だ」とした。

 回答がなかったのは希望と公明、維新、自由。連絡会メンバーの海渡(かいど)雄一弁護士は記者会見で「国会での姿勢で各党の考え方は分かるが、希望と立憲民主は法成立時に党がなかったので有権者に見解を伝えたかった。希望は態度を明らかにした上で選挙に臨むべきだ」と話した。

◇アンケート回答 

 「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ改正組織犯罪処罰法について、市民団体「共謀罪廃止のための連絡会」が衆院選公示前に行ったアンケートの内容と、各党の回答は次の通り。

 【設問】

 一 「共謀罪」法について((1)〜(3)を選択)

(1)廃止に賛成

(2)人権侵害の危険性があるので、修正が必要

(3)廃止・修正の必要ない

 二 「共謀罪」法に関する考え(自由記述)

 【回答】

▽自民

 一 (3)廃止・修正の必要ない

 二 組織的犯罪処罰法改正案の国会提出時、国際組織犯罪防止条約(TOC条約)は既に、世界で百八十七の国・地域が締結済みで、国連加盟国(百九十三カ国)で未締結の国は、わが国を含めて十一カ国のみだった。このTOC条約を締結するためには、条約が求めている義務(重大犯罪の実行の合意の犯罪化)を履行するため国内法の整備が不可欠。この国内法が「テロ等準備罪」を新設する「組織犯罪処罰法」の改正だ。

 同法により、わが国がTOC条約締結国となり、組織犯罪に立ち向かう国際協力の輪に参加し、捜査共助や犯罪情報共有などの国際協力を積極的に進めていくことは、国際社会の一員として意義あるものと考えている。

▽希望

 回答なし

▽公明

 回答なし

▽共産

 一 (1)廃止に賛成

 二 安倍政権が成立を強行した共謀罪は、国民の思想や内心の自由を侵害する憲法違反の法律だ。これは国民の目、耳、口をふさぎ、本来国民に公開すべき情報までも密室に閉じ込めてしまう特定秘密保護法(二〇一三年十二月成立)、集団的自衛権の行使に道を開いた安保法制=戦争法(一五年九月成立)などとともに、「海外で戦争する国」をつくる道具立てにほかならない。

 「共謀罪」法によって特に懸念すべきことは、政府に批判的な団体や市民の運動をはじめとして、国民のあらゆる表現や行動が、政府・捜査当局の日常的な監視下におかれる危険が飛躍的に高まるという問題だ。

 私たち日本共産党は、今回の選挙にあたり、市民と野党の共闘で安倍政権の暴走に審判を下し、立憲主義と平和主義・民主主義を取り戻すことを呼びかけていますが、安倍政権を退場に追い込んで、一日も早く共謀罪を廃止すべきだと主張している。

▽立憲民主

 一 (1)廃止に賛成

 二 民進党として共謀罪の廃案に全力を挙げた。立憲民主党としては、現代の治安維持法とも言われる共謀罪が、私たちの自由で闊達(かったつ)・活発な議論を抑圧し、萎縮させ、戦争できる社会への国内体制作りの一環と認識している。廃止することに賛成だ。

▽維新

 回答なし

▽社民

 一 (1)廃止に賛成

 二 「共謀罪」法は憲法の理念や現行刑法の基本原則に反し、合意という「心の中」を処罰し、思想の抑圧、人権侵害や市民監視の強化、市民運動の萎縮効果をもたらしかねない現代版の治安維持法であり、直ちに廃止しなければならない。特定秘密保護法や盗聴法(通信傍受法)も即座に廃止すべきだ。

▽自由

 回答なし

▽沖縄の風(参院会派)

 一 (1)廃止に賛成

 二 党ではないが、会派「沖縄の風」として共謀罪には、反対。

※「日本のこころ」には、連絡会のミスでアンケートを送らなかった。

主な政党の公約

新聞購読のご案内