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公約 薄れる「3・11」 復興 各党政策下位に

2017年10月13日

 東日本大震災から六年半が過ぎた今回の衆院選で、「震災復興」の優先度が各党公約の中で二〇一二、一四年の衆院選に比べて低下している。津波や東京電力福島第一原発事故の被災者は、今も避難生活を強いられているが、各党が訴える衆院選公約で「3・11」は風化しようとしている。 (中根政人)

 震災から間もなかった一二年の衆院選では、自民、公明、民主(当時)など大半の政党が、公約で「東日本大震災からの復興」を最重点政策に掲げた。一四年の前回選挙でも、公約で重点政策の上位に掲げる党が多かった。

 今回の衆院選は、各党公約での扱いを見る限り、復興に対する熱意を感じられない。

 自民党は、前回選挙では「経済再生・復興加速」とうたい、重点政策トップに置いた。今回は六項目掲げた重点政策の主見出しから「復興」が消え、五番目の「地方創生」の中に吸収された。

 公明党は、四項目ある重点政策の四番目「復興・災害対策の強化へ」の中で、心の復興や雇用創出などを推進するとした。

 共産党は、十項目ある重点政策の十番目。被災者生活再建支援制度の充実や損壊した自宅での生活を余儀なくされる被災者の支援などを挙げている。

 日本維新の会は、八項目の重点政策の六番目。公共事業中心から「ソフト重視」の復興支援策への転換などを盛り込んだ。

 社民党は、十一項目の政策の八番目。「人間の復興」を掲げ、復興予算の無駄遣い一掃などを挙げた。

 日本のこころは、重点政策で東日本大震災からの復興には触れず、将来の災害に備えた防災・減災対策の充実などを掲げた。

 公示前に結党した希望の党と立憲民主党。希望は、九項目ある重点政策には盛り込まず、政策集で復興特区制度の有効活用や人材・資材の不足への対応などを掲げた。

 立憲民主党は、五項目の重点政策とは別項で「災害からの復興」を掲げ、被災地再生に向けた一層の取り組み強化などを訴える。

 被災地では、住民の生活再建にめどが立ったとは言い難い。復興庁によると、震災を理由とする全国の避難者は約八万四千人に上る。原発事故が起きた福島県では、約五万五千人が県内外で避難生活を送っている。

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