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<おさらい消費税>[4]軽減税率 収入少ない人への対策は?

2017年10月18日

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 消費税率を10%に上げる場合には、生活必需品の税率を8%のまま据え置く軽減税率の導入が予定されています。収入の少ない人ほど消費税を負担する痛みが大きい「逆進性」の問題に配慮するためで、当初の予定だった二〇一七年四月からの増税に向け、一五年に「酒と外食を除く食料品」と「定期購読の新聞」が据え置く対象に決められました。

 軽減税率の対象品目を決める際には、低い税率の適用を求める業界の声を背景に、自民党と公明党の間で綱引きが起きました。ようやく決まった適用対象も「外食」などの線引きが複雑で、国税庁がホームページで公開している分かりづらい事例の「Q&A」は、六十九項目に上ります。

 消費を取り巻く現場では、導入に向けた準備と負担が生じます。小売り事業者は、軽減税率導入で税率が複数になるため、レジや受発注システムの改修が必要です。特に中小企業ではレジを更新する費用が重い負担になるため、支援する補助金が給付されます。改修が間に合わずに混乱が起きる懸念もありましたが、増税延期により準備期間が確保された形になっています。

 社会保障費に使われるとされていた消費税増税分の税収ですが、軽減税率の導入により約一兆円が失われると言われています。安倍政権は「安定的な恒久財源を確保する」としてきましたが、増税延期の中で財源穴埋めの議論も先送りされています。

 そもそも、軽減税率は収入の少ない人への対策として「不適切」との指摘もあります。収入の多い人も税金軽減の対象になり、高い食料品を買う人ほど恩恵が大きくなるためです。収入の少ない人の所得税額を軽くしたり、課税されていない場合は現金を給付するといった対策が効果的だとの意見もあります。 (須藤恵里)

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