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「加計」問題に揺れる地元 獣医学部予定地の愛媛2区

2017年10月20日

建設が進む学校法人「加計学園」が新設予定の獣医学部=愛媛県今治市で

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 学校法人「加計(かけ)学園」(岡山市)の獣医学部新設予定地の愛媛県今治市を含む愛媛2区では、安倍晋三首相の対応に批判的な自民党前職が立候補した。誘致を推進する今治市長は、早期新設を訴える日本維新の会の元職候補を支持しており、加計問題の余波が選挙戦に及んでいる。

 瀬戸内海に面し、造船やタオル産業が盛んな今治市の中心部に近い丘陵地では、獣医学部新設工事が急ピッチで進められている。大学誘致を四十年来の悲願として取り組んできた今治市は、三十六億七千五百万円で取得した建設用地を加計学園に無償譲渡。県と市は施設整備費について最大で九十六億円の助成を決めている。

 安倍首相と距離を置く元行政改革担当相の自民前職村上誠一郎氏(65)は、加計問題に関し「首相は説明責任を果たさなければならない」「身から出たさびだ」などと批判してきた。

 獣医学部誘致に携わってきた関係者は、村上氏側に「せっかくここまできたのに水を差している」と気色ばむ。だが、村上氏の関係者は「議論を深めようとしてきた姿勢が、支持拡大につながっている」と反論した。

 愛媛2区は、当選十回の村上氏に、維新元職の西岡新氏(44)、希望の党の前職横山博幸氏(66)、共産党の新人一色一正氏(67)が挑む。

 獣医学部の必要性を訴える西岡氏は「新設問題は選挙で決着をつける」と息巻く。元自民県議で、地元選出の自民議員らの支援を受け市長選を勝ち抜いてきた今治市の菅良二市長は「市の最重要課題は獣医学部の新設。積極的に推進を表明している西岡氏を市民は支持する」と断言した。

 加計問題に対する市民の考え方は割れているが、主婦の山本隆子さん(71)は「誰が当選しても、選挙が済んだら『問題なし』では納得いかない。安倍首相にはきちんと説明してもらいたい」と語った。

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<加計学園問題> 岡山市の学校法人「加計学園」が、政府の国家戦略特区制度を活用し、愛媛県今治市に岡山理科大の獣医学部を新設する計画を巡り、文部科学省と内閣府が計画公表前にやりとりしたとされる複数の記録文書が判明。学園理事長は安倍晋三首相の友人で、文書には「総理の意向」「官邸の最高レベルが言っていること」などの記載があった。来年4月の開学を見据え、文科省の大学設置・学校法人審議会が新設を認めるかどうかを審査していたが、今年8月に判断の保留を決めた。

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