全国
2017年10月20日
候補者と政党に送ったアンケートを手に話すLGBT法連合会共同代表の池田宏さん=16日、東京都新宿区で(木口慎子撮影) |
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性的少数者(LGBT)政策も忘れないで−。LGBT当事者団体が、衆院選候補者らに差別禁止法制定への考えなどを聞くアンケートをし、ホームページで順次公開している。世界では七十超の国でLGBT差別を禁じた法律が成立しているが、日本ではまだだ。衆院選では六党が公約にLGBT政策を明記し=表、当事者らは「今度こそ法整備を」との思いが強い。 (奥野斐)
当事者団体の全国組織「LGBT法連合会」は、衆院選公示翌日の十一日以降、主要政党と、住所などが把握できた全国の候補者約七百人にアンケートを送付した。設問は、候補者個人の公約にLGBT支援・権利確保政策が含まれているかや、教育現場や職場などでの課題に法制度や行政がどう対応すべきかなど。これまでに各党と約二百人分の回答を公開している。
「自由記述欄いっぱいに回答を埋めた候補者もいて、課題として認識されつつある印象」と、同会事務局長代理でレズビアンの増原裕子さん(39)は手応えを話す。
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LGBTを巡る政治の動きは、二〇一四年十二月の前回衆院選以降に前進があった。一昨年三月、超党派国会議員がLGBT議連を結成。法整備が議論されたが、与野党が一本化できず、昨年、民進など四野党が提出した法案は、衆院解散で廃案に。自民は「伝統的な家族観」を主張する勢力などとの党内調整が付かず法案提出に至らなかった。
「性的少数者を差別してはいけないという禁止原則を明記し、学校や企業の対応を義務づけ、苦しんでいる人が救われる法律を作ってほしい」。LGBT法連合会共同代表でゲイの池田宏さん(58)は言う。
小学生のころからしぐさや話し方が「女の子っぽい」とからかわれ、職場では疎外感を味わった。同会が公表している、当事者が社会で直面する差別などを例示した「困難リスト」には、不登校や解雇、精神疾患や自殺に追い込まれた事例など二百六十以上が載る。
次の衆院議員の任期中には東京五輪があり、五輪憲章には性的指向による差別禁止が明記されている。増原さんは「LGBTの人権保障は世界的な流れ。五輪をきっかけに、差別のない皆が安心して暮らせる社会にしてほしい」と話している。
<LGBT> 同性愛者のレズビアンとゲイ、両性愛者のバイセクシュアル、性同一性障害など身体と心の性に違和感があるトランスジェンダーの頭文字をとった総称。人口に占める割合は、国内の20〜59歳を対象にした電通調査(2015年)では7・6%、同博報堂DYグループのLGBT総研調査(16年)では約8・0%と推計されている。
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