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選ぶ、明日のため 雨中最後の訴えに有権者は

2017年10月22日

 雨の中、真剣に耳を傾ける人、人、人…。選挙戦最終日の二十一日、与野党の党首らの訴えを聞き逃すまいと、多くの有権者が街頭で立ち止まった。突然の衆議院解散から政党の離合集散の結果、三極の構図で論戦が展開された十二日間。どんな思いで一票を託すのか。東京都内の演説会場で聞いた。

◆自民・公明 政治は結果がすべて

 人で埋め尽くされたJR秋葉原駅前。午後八時前、自民党総裁の安倍晋三首相が「夢の持てる日本を」と演説を締めくくると、周囲のビルに響き渡る拍手が起きた。七月の都議選では、聴衆から「辞めろ」コールを浴びた因縁の地。この日も一部から「帰れ」「辞めろ」の声が上がったが、最後の「ガンバロー」三唱が完全にかき消した。

 杉並区のパート秦野妙子さん(41)は「今の政権以外に任せられる政党が見つからない。給料や雇用も上がっている。数字はうそをつかない」と指摘。「森友・加計(かけ)学園問題への説明がないのは残念」と感じながらも「旧民主党時代の経済状況には戻りたくない。思想や政策が異なる人が集まった政党は信用できない」。

 連立政権を組む公明党の太田昭宏前代表は正午すぎ、自身の選挙区のJR赤羽駅前で、自民の菅義偉(すがよしひで)官房長官と並び立った。

 演説に耳を傾けた板橋区の無職松田毅さん(75)は、公明をいちずに支持して半世紀になる。九条改憲を目指す自民には「油断できない」と警戒心を持つが、「政治は結果がすべて。介護や年金、医療の分野で、自公政権は出している」と断言した。 (神野光伸)

◆希望・維新 都も国も一緒に良く

 希望の党の小池百合子代表は午後七時四十五分、JR池袋駅西口で最後の訴えに立った。イメージカラー緑色の雨がっぱ姿。「台風の対応をしっかりするよう、担当副知事らに言ってきた」と都知事の仕事を強調しながら、「都知事選、都議選のように勝たせて」と訴えた。

 緑色のペンライトを持って前方に陣取った練馬区の会社員佐々木亜希子さん(40)は「同じ女性として、情報公開などに頑張っていて魅力的。都政も国政も一緒に良くしてくれると思う。二十二日は朝一番に投票に行く」。排除発言で支持が低下したとされるが、「全員受け入れる方がおかしい」と理解を示した。

 「小池さんの党に入れるかどうか、ギリギリまで悩みたい」と演説を聞きに来た豊島区の会社員松田将吾さん(29)は、都知事と党代表との兼務について「大阪府知事もやっていることで、小池さんならできると思う」と話した。

 希望と選挙協力する日本維新の会の松井一郎代表は、大阪市の繁華街で演説。「消費税を10%に上げようとしているが、議員定数や報酬を削減した大阪府での改革を国でもやりたい」などと訴えた。 (松村裕子)

◆共産・立民・社民 寄り添う言葉響いた

 共産党は立憲民主党、社民党と共に九条改憲反対を掲げて共闘する。志位和夫委員長が午後七時四十分、JR池袋駅東口でマイクを握り、「安倍政権を倒す」と繰り返すたびに、「そうだ」の声援が飛び交った。

 党支持歴四十年で、練馬区の福祉施設非常勤職員是広(これひろ)和夫さん(70)は「今のままでは北朝鮮と戦争になりそう」と懸念し、「平和主義を貫く共産が躍進しないといけない」と語った。「野党共闘がもっとうまくできたら良かったが、改憲勢力を増やさないよう頑張ってほしい」と期待した。

 「えーだーの! えーだーの!」。同六時二十分、立憲民主の枝野幸男代表が新宿駅南口のバスタ新宿前で登壇すると、枝野コールと手拍子が一斉に湧き起こった。

 新宿区のフリー編集者吉岡直子さん(52)は「憲法九条の改憲に反対で、立憲民主を支持する。枝野さんの演説は、私たちの感情に寄り添ってくれるような言葉で心に響く」と、傘もささずに聞き入った。「寄せ集めの党と言われるかもしれないが、自民と変わらないような保守の希望の党に比べれば、よほど希望がある」と力説した。 (川田篤志、清水祐樹)

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