全国
2017年10月22日
<解説> 「選挙も国民投票も、今やリスクになってしまった」
各国のシンクタンクが集まって今春発足した「東京会議」で、フランスのシンクタンクからこんな意見が出たことを、二十二日の投開票を前に思い出した。
欧州連合(EU)離脱を決めた昨年六月の英国民投票や、「自国第一」を掲げるトランプ氏が選ばれた同十一月の米大統領選を念頭に、排外主義の拡大を懸念した言葉のようだ。だが、本当に選挙はリスクなのだろうか。
排外主義に歯止めをかけたといわれる今年五月のフランス大統領選も含め、最近、欧米の選挙は世界的に注目を集めることが多い。共通する論点は、排外主義の背景にある貧困、格差などの「社会の分断」にどう立ち向かうか。日本社会も同じ課題を抱えており、安倍政治の四年十カ月を問う今回の衆院選で、根幹的に問われている部分だ。
消費税を増税するか、しないか。大企業への課税や子育て世代支援など、再分配をどこまで手厚くするか。国民生活の基盤である憲法を変えるのか、維持するのか。どの争点も、社会のあり方を大きく左右する。
欧米の選挙と同様、これらについて選挙で民意を示すことで、国の方向はいくらでも変わる。選挙は国民にとってリスクではなく、チャンスなのではないか。
投票率が上がるだけでも、「国民に見られている」という重圧を政治家に与えられる。民意を無視した乱暴なことはやりにくくなるはずだ。投票に行くことから、チャンスは生まれる。 (高山晶一)