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涙、歓喜 激戦の首都、未明の決着

2017年10月23日

 二十二日投開票の衆院選では、小選挙区や比例復活の当落判明が一部で二十三日未明までずれ込んだ。東京都内の選挙区や比例東京ブロックでも、残された議席に滑り込んだ候補が歓喜の声を上げる一方、落選が決まった陣営は肩を落とした。 

比例復活による当選が決まり、支援者と握手する松原仁さん=東京都品川区で

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◆東京3区・復活当選 松原仁さん(希望)

 希望の党の前職松原仁さん(61)は自民党の前職石原宏高さん(53)に東京3区で競り負けたが、比例で復活当選を決めた。品川区の事務所に当確の知らせが伝えられたのは二十三日午前零時五十五分ごろ。約三十人の支援者に拍手で迎えられ「もう一度、国政の場で仕事ができる。感謝の気持ちでいっぱいです」とかすれた声をしぼり出した。

 民進党からいち早く希望に参加したが、追い風は吹かず苦しい選挙戦に。希望のシンボルカラーの緑色のたすきを、途中で民進時代の赤色のたすきに変えるなど、なりふり構わぬ戦いで議席を死守した。「党はまだ成熟していない。今後はみんなで議論して党の方針を作っていきたい」と抱負を語った。 (梅村武史)

◆東京1区・落選 松沢香さん(希望)

涙を浮かべる希望の党の松沢香さん=22日夜、東京都港区で

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 「多くの期待を頂いたのに応えられず残念。時間がなく信念、政策を十分に伝えられなかった」。希望の目玉候補として東京1区に立った新人松沢香さん(39)は、小選挙区で惨敗し、比例復活もならなかった。

 二十二日午後十時すぎ、港区の事務所で涙を浮かべながら小選挙区での敗戦の弁を述べると、比例の結果が確定する前に早々と事務所を閉めた。

 新人だが、希望の政見放送に小池百合子代表と出演。小池氏も公示後に四回も応援入りするなど力を注いでいた。だが、小池氏の「排除」発言は選挙戦に影響した。「同じ考えの仲間で集まりたかったが、小池さんの発言は誤解されてしまった」と語った。 (神野光伸、岡本太)

◆東京5区・復活当選 手塚仁雄さん(立民)

 「悔しい。小選挙区で自分が通れば頑張っている新人が入った」。立憲民主党の元職手塚仁雄(よしお)さん(51)は東京5区で僅差で敗れたが、比例で復活当選し、五年ぶりに国政に返り咲いた。二十三日午前一時ごろ、支援者が集まった世田谷区の事務所で「皆さんのおかげです」と感謝を述べたが、笑顔はなかった。

 旧民主党政権では首相補佐官も務めたが、二〇一二年の選挙で議席を失い、毎朝の駅立ちで安全保障関連法や原発再稼働への反対を訴えてきた。公示後も選挙カーを使わず、有権者一人一人の声に耳を傾けた。「これだけ改憲勢力が大きくなるのは危機感がある。民意は決してそうではない」と話し、改憲阻止に意欲を示した。 (神谷円香)

◆東京6区・当選 落合貴之さん(立民)

 「多くの人から応援してもらった。本当にうれしい」。立憲民主の前職落合貴之さん(38)は、東京6区で当選を決めた二十三日午前一時すぎ、世田谷区内の事務所で、支援者と喜びを分かち合った。前回は維新の党で比例復活しており、小選挙区では初勝利。安保法には一貫して反対しており、同法への態度を「踏み絵」にした希望に反発。「『今の政治はおかしい』と思う有権者の声を結集するのが新党」と、立憲民主に参加した。

 「安倍政権をただしてほしいという声を国会へ届けるのが役割。また明日から一緒にやっていきましょう」。支援してくれた地元の仲間に対し、引き締まった表情で呼び掛けた。 (石井紀代美)

◆東京10区 希望・若狭さん落選

 衆院選で、希望の小池百合子代表の側近として脚光を浴びた希望前職の若狭勝さん(60)は東京10区で敗れ、比例東京ブロックでの復活も成らず落選が確定した。若狭さんは二十三日昼、東京都内で報道陣に対し「残念極まりない。今後のことは時間をかけて考えたい」と話した。 (増井のぞみ)

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