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改憲「合意形成」を明記 自公政権合意

2017年10月24日

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 自民、公明両党が二十三日、第四次安倍内閣発足に先立って署名した連立政権合意には、「憲法改正に向けた国民的議論を深め、合意形成に努める」という項目が盛り込まれた。第二次安倍内閣が発足した二〇一二年十二月以降、三回目の政権合意だが、安倍晋三首相(自民党総裁)の意欲が反映されるかのように、改憲を巡る表現が次第に強まっている。 (生島章弘)

 首相と公明党の山口那津男代表は同日、国会内で会談し、改憲を含む五項目の重点施策を列記した合意文書に署名。連立政権の継続を確認した。

 両党が政権復帰した一二年衆院選後に交わされた政権合意は、憲法審査会での審議促進と「国民的な議論」を訴える内容。一四年衆院選後の政権合意は、一二年を下敷きにしつつ、改憲手続きを確定させる改正国民投票法の施行を踏まえた表現が加わった。

 そして今回は、憲法審での審議や国民的議論に加え、「合意形成に努める」という表現が新たに盛り込まれた。首相が目指す二〇年の改憲施行に向けて、議論にとどまらず合意することまでを目標に掲げた形だ。

 今回の衆院選の結果、改憲勢力は衆参両院で改憲発議に必要な三分の二以上の議席を維持したが、首相が提唱する自衛隊を明記する改憲などには、改憲勢力の中でも異論がある。それでも首相は二十三日の記者会見で「与党、野党で幅広い合意を形成することに努める」などと、合意を目指す考えを繰り返した。最終的に野党第一党の立憲民主党と合意しなくても、発議に踏み切る可能性にさえ触れた。

 一方、一二年と一四年の政権合意は、国会での改憲論議の場を単に「憲法審査会」としていたが、今回は「衆議院・参議院の憲法審査会」と改められた。自公両党の政調会長が事前に協議して固めた表現だ。

 公明党は、首相主導の改憲が性急に進むことを警戒している。参院では、改憲勢力が公明党を欠くと三分の二に届かない状況を踏まえ、公明党側が首相をけん制する狙いで盛り込んだ可能性がある。

◆公明の議席減少に 首相「申し訳ない」

 安倍晋三首相(自民党総裁)は二十三日、公明党の山口那津男代表との会談で、衆院選で公明党が議席を減らしたことに関し「もう少し協力ができれば良かった。申し訳なかった」と述べ、自公の連携が不十分だったとの認識を示した。この後、山口氏は記者団に「どういう協力の在り方が効果を上げるか、お互いに検討を重ねたい」と語った。

 公明党は公示前勢力の三十五議席を目標としたが、二十九議席に減少。これに関し、山口氏は「野党分裂で政党の性格付けが今までと違ってきている。立憲民主党はリベラル色が強い。国民目線に立った中道の政党が政権にいることは極めて重要だ」と述べた。

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