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「県民に県の存在感薄く」 主要政党地方組織「国政の手足」に

中央学院大・福嶋浩彦教授

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 県議選で無投票の選挙区が多い背景について、我孫子市長三期と消費者庁長官を務めた福嶋浩彦中央学院大教授(地方自治)に聞いた。

 県民にとって県の存在感が薄く、県政の問題や政策を候補者が有権者に訴えても、投票する際の判断にしてもらえない。そうなると組織力がある政党の候補か、タレント的な人、知名度がある人しか出馬できない。都市部ほど市の存在が大きく、県への依存度が小さいので、こうした選挙区では、より県を身近に感じられないのではないか。 

 存在感が薄いのは、県が国の窓口になって補助金を分配し、国の政策を下請け的に進めることしかやっていないからだ。市町村の仕事は、市民一人一人の思いから出発して、皆で話し合い、合意しながら社会を作っていくこと。市町村が独自の施策を推し進め、県はそれを支えながら市町村の立場で国とやり合ってこそ、存在感が出る。県政の魅力も増す。 

 政党にも問題がある。日本の主要政党は中央集権で、県組織や地域支部の代表の多くは国会議員かその候補者だ。県議や市町村議ではない。つまり地方組織は地方政治の主体ではなく、国政選挙の手足なのだ。これでは地方自治は育たない。自治体の政策での野党同士の切磋琢磨(せっさたくま)もなくなり弱体化する。今回、二人区で無投票が多い一因ではないか。

 

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