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水戸、取手市長選 一騎打ち 日立市長選は5回連続無投票

 統一地方選で水戸、取手の両市長選と十一の市議選が選挙戦に突入した。両市長選はいずれも現職と新人の一騎打ち。告示は十四日で、日立市長選は現職の無投票当選が決まった。市長選、市議選ともに二十一日に投開票される。 (鈴木学、山下葉月)

◆水戸 東海第二も争点に

 水戸市の市長選は、いずれも無所属で、新人で弁護士の谷萩陽一さん(62)と、三選を目指す現職の高橋靖さん(53)の戦いとなった。

 選挙人名簿登録者数は十三日現在で二十二万六千四百八十四人。期日前投票は十五〜二十日で、市役所本庁舎や茨城大学など市内八カ所で受け付ける。二十一日は市内七十五カ所で投票され、市総合運動公園体育館で即日開票される。

 市議選があるのは水戸、日立、土浦、古河、石岡、龍ケ崎、常総、牛久、鹿嶋、筑西、行方の十一市。計二百五十四の議席に、計二百九十九人が立候補した。

 結城市議選と取手市議補選は無投票当選。結城市議選は当初、十九人が立候補の準備を進めていたが、一人が届けず、十八人が無投票当選となった。内訳は現職十三人、元職一人、新人四人。党派別は、無所属が十六人、公明と共産がそれぞれ一人となっている。

◆取手 現職に新人挑む

 取手市長選は、無所属新人で元市議の竹原大蔵さん(42)と、四選を目指す無所属の藤井信吾さん(59)の一騎打ちになった。

 竹原さんは第一声で、市立中の女子生徒がいじめで自殺した問題の市側の対応に触れ「遺族の話に耳を傾けず、一体どこを向いて政治をしているのか。都合の悪いことに向き合わない姿勢が、取手が衰退した原因」と現職を批判した。

 主な公約として営業戦略部の設置と、市の事業の精査を挙げ「市民のノウハウや経験を生かして政策を立案し、滞った空気に新しい風を吹き込みたい」と市政刷新を訴えた。

 藤井さんは出陣式で「税収が下がる中で学校の耐震化を進め、市民会館や藤代公民館を改修した。地域包括ケアなど高齢者福祉を前進させ、学校、保育所にも力を入れた」と実績をアピールした。

 今後の大型事業として、取手駅西口の再開発と、桑原地区への商業施設誘致について説明。「確かな施策を継続し、気持ちを一つに前進することが、豊かさの持続になる」と市政の継続を呼び掛けた。十三日現在の選挙人名簿登録者数は九万一千九百八十九人。 (宮本隆康)

【水戸市長選候補者の第一声(届け出順)】

◆「再稼働反対」鮮明に

 谷萩陽一(やはぎ・よういち)さん(62) 無新=共

 弁護士・NPO法人理事長(元)日弁連副会長▽東大

 無所属新人で弁護士の谷萩陽一さん(62)はJR水戸駅南口で政策を訴えた。共産党県委員会の幹部らも応援に駆けつけた。谷萩さんは、市が進める新市民会館の建設計画の事業費が膨大だと指摘。「計画を白紙に戻し、安い費用で造るべきだ」とした。

 高齢化が進むことにも触れ「高齢者が中心市街地に買い物に行ける仕組みをつくる」と、路線バスなどでの移動が不便な市民を送迎するデマンドタクシーの導入を掲げた。

 日本原子力発電東海第二原発(東海村)で、深刻な事故が起きた時、全市民が避難を迫られることについて「危険なものから、市民を守るのが市長の役目だ」と述べ、再稼働反対の立場を鮮明にした。

◆「市民の理解」が絶対

 高橋靖(たかはし・やすし)さん(53) 無現<2>

 市長(元)県議・市議・衆院議員秘書▽明大院

 現職の高橋靖さん(53)は水戸市内で一部県議ら支持者が集まる中、第一声を上げた。

 認可保育所に申し込んでも入所できない「待機児童」に触れ、「二期八年で二千六百人以上の定数増を図った。保育士の処遇改善も打ち出し、待機児童ゼロを目指す」と訴えた。

 東海第二原発の三十キロ圏に入る市は、再稼働する際、同意が必要な協定を日本原子力発電と結んだ周辺六市村の一つになる。

 協定を結んだ「張本人」として「市民がイエスかノーか把握し、市民目線に立った判断をしなくてはならない。実効性のある避難計画が策定されず、市民の理解が得られていない状況下での再稼働は絶対認めない」と強調した。

◆日立市長選 5回連続無投票

無投票当選が決まり、支援者から花束を受け取る小川さん(中)=14日、日立市で

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 東海第二原発の三十キロ圏にあり、再稼働の際に、事前同意が必要になる日立市の市長選で現職の小川春樹さん(71)が無投票で再選した。市選挙管理委員会によると、市長選の無投票は連続五回目。

 原発メーカーでもある日立製作所が立地し経済の柱になっていることから、小川さんは市を「日立製作所のあるものづくりのあるまち」とするが、再稼働の是非には「そういうことにとらわれずに判断する。何よりも市民の安全が第一だ」と明言した。市議会や有識者会議の議論、さまざまな市民の意見を踏まえて判断すると強調した。

 このほか、現在休止中で、出産前後の母体や新生児への専門的医療を提供する「地域周産期母子医療センター」について、「次の四年で再スタートを切りたい。小児科の先生を呼び、赤ちゃんが産める体制を整備する」と述べた。

 

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