二十一日の水戸市議選で決まった新議員二十八人のうち新人五人に、本紙は、市議会が可決した東海村の日本原子力発電(原電)東海第二原発の再稼働を「現時点では認めない」とする意見書の賛否を聞いたところ、四人が賛成、一人が「どちらでもない」とした。それぞれの立場から再稼働に危機感を持つ姿が浮かび上がった。 (山下葉月)
五人の党派は、公明一人、立憲民主二人、無所属二人。
公明の党支部役員森正慶さん(46)は、意見書づくりを主導した公明市議の後継者。「今までやってきたことを引き継ぐ」と、原発三十キロ圏に暮らす九十四万人の避難が不可能なことを理由に挙げた。
立民公認で立候補した介護福祉士の滑川友理さん(32)は介護現場の経験を踏まえ「要支援者は逃げられない」ことを強調。同じく立民の政治団体代表萩谷慎一さん(56)は「一度事故が起これば故郷を失う。再稼働は市が抱える最大のリスクだ」と話した。
無所属で看護師の後藤通子さん(46)=自民推薦=は三人の子どもの母親。「子どもの安全を考えると、広域避難計画が決まらない中では認められない」と意見書に賛同した。
無所属で東京電力社員、佐藤昭雄さん(43)は「議会でどう議論されたのか分からない。一つ一つ確認をして自分の中で答えを出したい」と述べるにとどめた。
意見書では「実効性が伴う避難計画の策定が十分とは言えず、現時点での住民理解が得られるものではない」と指摘。「再稼働を前提とした運転延長を認められない」とした。昨年六月の採決では、賛成十七、反対二、棄権七だった(残り二は議長と欠員)。今選挙の当落を踏まえると、賛成十八、反対二、棄権・どちらでもない七になった(残り一は採決当時の議長)。
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