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<投票前に考えた>外国人共生 簡単な日本語と多言語

多言語化された防災マップやガイドブック

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 外国人住民が増え、国際化の波が地方にも押し寄せている。災害への備えは、共生を進める上で課題の一つだ。

 「避難所」は「逃げるところ」に、「給水」は「水がもらえる」に言い換えましょう−。

 県などは日本人と外国人がコミュニケーションを取れるように、災害時などに「やさしい日本語」を活用するよう呼び掛けている。

 やさしい日本語は、日頃から職場で日本人と接し、日本語をある程度理解している外国人との意思疎通に役立つ。さらに「外国語は分からない」「簡単な英語以外は話せない」といった日本人でも、外国人に手を差し伸べやすくなるメリットがある。

 県国際課の担当者は「『避難所』などよく使われる言葉は、置き換えた言葉と元の言葉の両方を伝え、外国人に覚えてもらうのが良い。どこまで伝わっているか確かめながら会話を進めるのが重要だ」と話す。

 簡単な日本語の使用に加え、表記の多言語化も取り組みが進む。外国人住民の割合が県内一位で4・17%の真岡市は、すでに二〇一一年から英語やスペイン語などを併記した「防災マップ」を発行している。本年度には、河川の氾濫などによる浸水想定を新しくした改訂版を作る。

 市によると、外国人からは避難所の問い合わせが多く、改訂版では避難所の一覧をより分かりやすく表記するという。市の担当者は「災害時はネットが使えなくなる可能性もある。防災マップなどを手元に置いてもらいたい」と話す。

 外国人の割合が真岡市に次いで大きい3・99%の小山市は、市民向けに発行した「防災ガイドブック」を一七年に英語、スペイン語、ポルトガル語にそれぞれ翻訳した。学校などに設置する避難所の看板の英語表記も進めている。

 こうした対策を行政が進める一方、外国人住民に地域の自治会や自主防災組織が力を入れる防災の取り組みを知り、関わってもらう必要もある。

 県国際交流協会(宇都宮市)の小林忠教事務局長は「外国人住民の中で、地域組織との懸け橋となれるキーマンを見つけ出すことが近道。一緒に活動を広げていくことが大事だ」と指摘する。

 四月一日には外国人労働者の受け入れを拡大する改正入管難民法が施行され、外国人住民のさらなる増加が見込まれる。県を挙げて共生のあり方を考えることがこれまで以上に求められそうだ。 (小川直人)

 =おわり

◆18年末の住民 過去最多4万659人

 県によると、住民基本台帳に基づく2018年末の県内外国人住民数は4万659人で、リーマン・ショックや東日本大震災の影響で減少傾向にあった12年の2万9627人から6年連続で増え、過去最多となった。県人口に占める割合は2.08%。市町別では宇都宮市が1位で9530人、次いで小山市6697人。国籍・地域別では、中国が最も多い。

 

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