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11区長選に31人立候補 区議選に1078人立候補

区長選候補者の訴えを聞く人たち

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 統一地方選後半戦の区市長選、区市議選が十四日告示され、都内では十一の特別区長選に三十一人、多摩地区では五市長選に十一人が立候補した。二十三区のうち、二十区で区議選があり、定数計七八五に対し、千七十八人が立候補。多摩地区の二十市議選には定数計四八五に対し、五百九十五人が立候補した。 (山田祐一郎)

 区長選のうち、北区長選は五選を目指す現職に新人二人が挑む。江東と大田は、四選を目指す現職と新人二人による選挙戦。豊島は六期目を目指す現職と新人三人が立候補を届け出た。

 八期務めた現職が引退を表明した中央は、新人五人が争う構図。江戸川は新人三人による争いとなった。世田谷は、三期目を目指す現職に元区議長が挑むほか、文京、墨田、渋谷、板橋も現職と新人の一騎打ちとなった。

 十六日には、大島町長選、檜原村長選のほか、瑞穂、大島町議選、檜原、神津島、御蔵島、小笠原村議選が告示される。

 いずれも二十一日に投票が行われる。ほとんどが即日開票されるが、江東、大田、中野、杉並、荒川、江戸川では二十二日に開票される。

◆北区は三つどもえの戦い

 北区長選は、二人の新人と、五選を目指す現職の三候補による選挙戦となった。

 自ら立ち上げたあたらしい党の代表で元都議の新人、音喜多駿(おときたしゅん)さん(35)はJR十条駅前での第一声で、区の高い高齢化率や低い人口増加率を示し「若い世代が定着していない」と四期十六年の現区政を批判。二十三区の魅力度、認知度のランクで最下位であると指摘し、「考えられる全ての手を尽くす」と区名変更の住民投票に意欲も示した。この後、駅前商店街を歩き買い物客らに支持を訴えた。

 市民団体代表世話人の無所属新人、川和田博さん(68)=共産推薦=は、十条駅前での第一声で、「福祉と暮らし優先の温かい区政を展開したい」と声を張り上げた。コミュニティバスの拡充や区民事務所の復活など、地域に根差した政策を主張。「北区の子どもは今後十五年間、増えていく。それに見合った教育施設や子どもの居場所を」と、保育料軽減や子ども食堂への支援なども訴えた。

 迎え撃つ無所属現職の花川与惣太(よそうた)さん(84)は、区役所そばの事務所前での出陣式でマイクを握り「経験は大きな原動力。気力、体力、ますます充実している」と支持を呼び掛けた。背筋をピンと伸ばし、子育てや教育、高齢者施策に取り組んでいくと強調。式の後は自転車で区内を回って、行動力をアピールした。高齢を懸念する声もあるが、陣営幹部は「元気な姿を見てもらうのが一番」と話した。 (宮尾幹成、西川正志、中村真暁)

◆中央 5新人が林立の激戦

 中央区長選は八期三十二年務めた現職が出馬せず、無所属の新人五人の争いとなった。

 政治団体代表の熊倉哲也さん(55)は大江戸線勝どき駅近くで演説し、「現職が後釜に指名した人が同じ路線を歩むことは一区民として疑問。一緒に区政を変えていこう」と呼び掛けた。

 食育事業組合代表の梅原義彦さん(67)は同駅近くで築地市場跡地の再開発プランを主張。「屋上を緑化して緑あふれる区にする」。スピーカーは使わず、一人ずつ声を掛けて回った。

 ジャーナリストの上杉隆さん(50)は同駅近くでポスター張り。「選挙カーやマイクを使わず、区民に会って政策を聞く」。インターネットも活用し「リアルとうまく組み合わせたい」。

 元環境省職員の西田主税さん(56)=立民、共産、自由、社民推薦=は同駅近くで第一声。現職による後継指名を批判し、「私には実績と能力と行政手腕とビジョンがある」と訴えた。

 現職から後継指名を受けた山本海苔店相談役の山本泰人さん(70)=自民、公明推薦=は茅場町で現職や支持者らを前に「変えるべきは変え、新しい区をつくっていく」とアピールした。

 映画プロデューサー山田英久さん(57)は十四日、立候補を届け出たが同日中に辞退した。「他候補と政策協定を結び、政策実現のめどが立った」としている。 (杉戸祐子、長竹祐子、加藤健太)

◆世田谷 現職と元区議長激突

 世田谷区長選は、元区議会議長の新人、三井美穂子さん(56)=自民推薦=と、三選を目指す現職の保坂展人さん(63)の一騎打ちとなった。

 三井さんは、朝から区議選の応援で自民系区議の遊説を回り、自身は午後五時から三軒茶屋駅前で出陣式に臨んだ。「自分も子育てはワンオペで閉塞(へいそく)感があった。今は義母の介護もある。経験を生かし、安心して暮らせる世田谷のために区民に寄り添っていきたい」と、教育や健康づくりなどを施策に挙げた。聴衆からは女性区長を望む声も上がった。

 保坂さんは午前九時、区役所前で第一声を上げた。保育園増設や福祉の相談窓口設置など二期八年の実績を掲げ、「排除、差別ではなく、みんながお互いをサポートしながら、あるものを生かし新しいまちをつくっていくのが世田谷区政。もっと参加と協働のまちづくりをやらせてください」と語った。自ら区役所前の掲示板にポスターを張ると、次の遊説先へ向かった。 (神谷円香)

◆大田 現職と2新人の争い

 大田区長選は、新人で東大名誉教授の神田順さん(71)=立民、共産、自由、社民、生活者ネット推薦=と四選を目指す現職の松原忠義さん(76)=自民、公明推薦、元区議の新人岡高志さん(43)の三人による争いとなった。

 神田さんはJR蒲田駅東口で第一声を上げ、建築の専門家として「安全で安心なまちづくり」を訴えた。また大型プロジェクトの見直し、福祉や教育の重視に言及。住民が政策の優先順位を決める住民会議を地域ごとに設置し「住民本位の区政を目指す」と述べた。

 松原さんは同駅西口で街頭演説して三期十二年の実績を強調。「もう一度、区長をやらせてほしい」と訴えた。現在進めている羽田空港沖合展開に伴う跡地開発について「大田の発展だけでなく、日本の発展の命運を握る。私以外には絶対できない」と訴えた。

 岡さんは、区役所近くでマイクを握り、「住民税20%減額」を掲げた。駅前で自ら政策ビラを配りながら、自転車で区内を回る。「区役所の消極的な体質を改善させる、開かれた区政を目指す」と述べたほか、最低賃金の引き上げや教育の質の向上などを訴えた。 (山田祐一郎)

◆豊島 3新人が現職に挑む

 豊島区長選は、六選を目指す現職に対し、新人三人が挑む戦いとなった。

 新人で市民団体事務局長の山口実さん(70)=共産、自由推薦=は、巣鴨地蔵通り商店街で第一声。現職が進める大型事業を批判し、医療・福祉や公営住宅の充実などに取り組むと主張。「区民の目線に立った区政を約束する」と強調した。

 現職の高野之夫さん(81)は政党推薦を受けない選挙戦。出陣式で来賓の小池百合子知事から激励を受けた後、池袋駅前で「二十二の事業が進行し、区が大きく変わるチャンス。リーダーシップを執り、モデル自治体を目指す」と訴えた。

 新人の湯浅茂晴さん(56)は少人数での選挙戦で、スピーカーを積んだ自転車でポスターを張ってまわった。四年前も出馬しており、前回同様、ハコモノ行政を批判。豊島区上空を通過する羽田の新飛行ルートにも反対している。

 新人の鈴木和夫さん(67)も出馬した。 (渡辺聖子)

◆板橋 現職と新人一騎打ち

 板橋区は区議を六期務めた新人の松島道昌さん(64)=立民、共産、自由、社民推薦=と、四期目を目指す現職の坂本健さん(59)=自民、国民、公明推薦=の一騎打ち。

 松島さんは自身も設立に関わった同区前野町けやきの公園で「ここは住民参加の街づくりの原点。トップダウンの政治になってしまった板橋を住民主役に変えましょう」と第一声を上げた。

 区立文化会館前での出陣式では「板橋を自然エネルギー推進モデル都市にしたい」と野党団結の求心力になった脱原発をアピール。争点の一つの大山地区の再開発では「商店街を分断するものだ」と批判した。

 同区栄町の公園で行われた坂本さんの出陣式には自民党の下村博文・元文部科学相や公明党、自民党の都議らが応援に駆けつけた。坂本さんは「これまで積み重ねてきたものを区政に反映させていくことが私の使命。責任をまっとうしたい」と続投を訴え、児童相談所機能を持った子ども家庭総合支援センターの設置、大山駅前を中心とした都市基盤の整備、高島平団地の活性化を取り組むべき課題に挙げた。 (宮崎美紀子)

 

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