統一地方選後半戦で、経験や知識を身近な政治に生かそうと、区市町村議選に挑戦し、当選した新人議員たち。喜びと重責をかみしめ、思いを新たにした。一方、翌日開票された大田区長選では22日夕、当選した現職が4期目に臨む意気込みを語った。
◆港区の石渡幸子さん 南青山に児相の必要性訴え
「一票の重みを感じる」。港区議選で、次点と一票差の最下位で初当選した弁護士の石渡幸子さん(49)は二十二日、当選証書と議員バッジを受け取り、意気込みを語った。
同区南青山の住民で弁護士として消費者問題を扱ってきた。昨年十月、区が南青山に建設を予定する児童相談所住民説明会に参加。施設の機能や意義が住民に十分伝わらずに「ブランドイメージが下がる」など反対意見が出る現状を変えたいとの思いを強くした。
児童相談所や子ども家庭支援センターなどの機能を持つ施設を建設する区の計画を支持するが、依然として計画への賛否が入り交じる地域の現状に危機感を抱く。「できる施設をどう有効活用するかをもっと議論してほしい。弁護士や医師など専門家を施設に入れるなどして地域で機能を共有できるよう、本来は行政にもっと注文しなければいけない」と話す。
選挙期間中も児相計画に反対する住民から、反対の理由を記した手紙が届いた。だが「意見の違う有権者からも『あなたに入れた』という声をいただいた。何となく施設が完成してしまうのではなく、議員として、児童福祉への理解を広げるため、区役所や区民と意見を交わしていきたい」と話した。 (山田祐一郎)
◆八王子の西室真希さん 「はれのひ」成人式企画
八王子市議選では、振り袖販売・レンタル業「はれのひ」が昨年の成人式当日に営業を停止して同市の成人式に振り袖姿で出席できなかった人たちに、やり直し成人式を企画した西室真希さん(37)が初当選した。22日にあった報告会で「皆さまからいただいた笑顔と温かい思いを胸に同じ目線、実際のママ目線で取り組む」と誓った。
呉服屋の若おかみの西室さんは昨年1月、成人式会場で「はれのひ」の被害に遭い、泣き崩れる新成人を目の当たりにした。「20歳の笑顔を取り戻したい」と知人らと翌月、やり直しの成人式を成功させた。
仕事をしながら4人の子どもを育て、子育て世代が集うカフェなども運営。自民党関係者が昨年3月、「生活に密着した感覚を持った市議になってほしい」と出馬を打診。2カ月ほど考え抜き「今までやってきたことを生かせる」との夫彰人さん(40)ら家族の後押しもあり、立候補を決意。
地盤も経験もない中、朝の駅頭立ちの後に子どもを学校や保育園に送り、活動をこなす姿に共感が広がった。西室さんは「身近に感じてもらえる市議を目指して頑張っていく」と笑顔に力を込めた。 (萩原誠)
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