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注目5区市長選 候補者の主張 動画公開

 統一地方選の後半戦が告示され、都内では十一の区長選に三十一人、多摩地区では五つの市長選に十一人が立候補した。本紙は、現職の不出馬を受けて新人五人が激しく争う中央区など五つの首長選に特に注目。今回初めて、各候補者の主張を紹介する動画を東京新聞ホームページで公開している。このうち、紙面でこれまで大きく取り上げていない三選挙区の構図を紹介する。ほかに、高齢多選を巡る舌戦が繰り広げられる北区、保守分裂の三鷹市の動画を公開している。

◆世田谷区 子育て支援が重点課題

 二十三区最大の人口を維持し、二年前には九十万人を超えた世田谷区。多摩川や等々力渓谷など自然も豊かだ。若年層の転入が多く、一時は全国ワーストの待機児童数でも知られた。子育て支援は常に課題で幅広い層への福祉も求められるが、一騎打ちとなった無所属の二候補の施策に明確な違いは見えにくい。

 元区議の新人三井美穂子さん(56)は自民の推薦を受けた。元全日空客室乗務員。NPOで認知症予防のアドバイザーを務めていた。現職の実績も認め批判は抑えつつ、自身の経験を生かして勝負する。健康づくりを重視し、介護予防のフレイルチェックや精度の高い子宮頸(けい)がん検診の導入、また危機管理の専門家を任命し災害対策の強化も訴える。

 現職の保坂展人さん(63)は元衆院議員で、教育ジャーナリストから政界に転身。前回、自民系候補との一騎打ちを制した。「国政の代理戦争は避けたい」として政党からの推薦は受けないが、共産、社民や旧民主系区議らが実質的に「野党共闘」で支援する。二期八年での保育園増設や福祉の相談窓口設置など実績を広く訴え、脱原発と自然エネルギー促進も主張する。 (神谷円香)

◆中央区 築地跡地活用など争点

 二十年で人口が十六万人超に倍増した中央区。八期三十二年務めた現職が出馬せず、無所属の新人五人による選挙戦となった。

 現職による後継指名の是非のほか、築地市場跡地の活用、区内に選手村を抱える二〇二〇年東京五輪・パラリンピック、人口増加への対応などが争点。日本橋、京橋地区と、月島、勝どきなど新たな住民の多いベイエリアの融合も課題だ。

 政治団体代表の熊倉哲也さん(55)は後継指名に「一区民として疑問」と反発。築地市場跡地について、区民の意見を反映した再開発プランをまとめる考えだ。食育事業組合代表の梅原義彦さん(67)は、屋上緑化を軸とした築地跡地活用プランを主張。ヒートアイランド現象の緩和や防災面の効果を訴える。

 ジャーナリストの上杉隆さん(50)はインターネットを積極的に活用し、区民の提案を政策に反映したい考え。「自分を媒体として使って」とアピールする。

 立憲民主、共産、自由、社民が推薦する元環境省職員の西田主税さん(56)は行政経験や交渉力をアピール。「古い体質の行政には新しい力が必要」と主張する。

 後継に指名された山本海苔店相談役の山本泰人さん(70)は自民、公明の推薦を受け「継続の中の発展を目指し、変えるものと変えないものを判断したい」。 (杉戸祐子)

◆板橋区 再生エネ活用、共に表明

 東京都と埼玉県の境界に位置する板橋区。人口は約五十六万人で決して小さな町ではないが、大きな繁華街を持たないことから地味なイメージもある。東洋一のマンモス団地といわれた高島平団地があり、都内有数の住宅地であると同時に、戦前の軍需工場から発した光学産業の中小企業が集積する産業都市の顔も持っている。今回はいずれも無所属で新人の松島道昌さん(64)、現職の坂本健さん(59)の一騎打ちとなった。

 坂本さんは父親(故人)も板橋区議を務めた人物で、強固な支持基盤を持つ。大学で建築を学び、政治家になる前は大手設計事務所に勤めていた。直近二回の区長選はいずれも共産系候補との一騎打ちで、圧倒的票差で当選を重ねてきた。

 松島さんは市民グループに推され、立憲民主党、共産党、自由党、社民党の推薦を取り付けた。新人とはいえ区議を六期務めたベテランだ。「脱原発」を旗印に、保守と革新の垣根を越えた共闘で挑む。

 なぜ板橋で脱原発なのか。松島陣営は東海第二原発から約百キロという距離の近さを挙げ、ひとたび事故が起きれば区民の安全を守れないとの見方だ。環境問題では坂本さんも小豆沢体育館プールの地中熱導入などを例に、再生可能エネルギーへの取り組みを表明している。 (宮崎美紀子)

 

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