紙面から

体操男子団体でミス連発 日本4位で決勝へ

体操男子予選の鉄棒で「屈身コバチ」に失敗し、背中からマットに打ちつけられる内村航平=共同

写真

 団体総合、個人総合、種目別の決勝進出を懸けた男子予選が行われ、団体総合で3大会ぶりの金メダルを目指す日本は内村航平(コナミスポーツ)が鉄棒で落下するなど、ミスが相次ぎ合計269・294点の4位で決勝進出となった。3連覇を狙う中国が270・461点でトップ。米国が2位、ロシアが3位。

◆個人総合で内村は2位突破

 個人総合は内村が90・498点の2位、加藤凌平(コナミスポーツ)が6位で予選突破。ベルニャエフ(ウクライナ)が91・964点の首位で決勝へ進んだ。

 種目別は床運動で内村が3位、白井健三(日体大)は6位、跳馬で白井が3位、平行棒で加藤が8位となり、上位8人(各国・地域2人まで)による決勝に進んだ。内村は金メダルが有力視されていた鉄棒で決勝進出を逃した。

 団体総合決勝は種目ごとに各チーム3人が演技した得点合計で争われ、予選の得点は決勝には持ち越さない。 (共同)

◆立て直せるか

 念願達成には険しい道が待つ。3大会ぶりの団体総合優勝を目指す日本は予選を4位通過。「五輪は何が起こるか分からない。終わったことは気にしない」。エース内村航平は切り替えようと努めるが、損なわれた美しさを取り戻すのは容易ではない。

 予選の前半はミスが出ても他の選手がカバーした。4種目目の平行棒で田中佑典、山室光史(いずれもコナミスポーツ)が崩れると堰(せき)が切れ、続く鉄棒で内村に痛恨のミスが出た。「バーが滑る感じがあった。気にしすぎて力をセーブしすぎた」。冒頭の屈身コバチで落下。個人総合決勝への首位通過を逃し、種目別金メダルの可能性までも消してしまった。

 水鳥寿思監督によると、平行棒では田中らが演技開始をせかされ、鉄棒ではバーに滑り止めがほとんど付いておらず、準備に戸惑ったという。観客席からは、開催国ブラジルへの大声援も。「いろんなことに対応しなければならなかった。臨み方をもう一度確認したい」と戒めた。

 舞台の大きさを意識せず臨むことも難しかった。「世界選手権と同じように臨んでいても、心の中では『五輪』というのが出てきてしまっている」と内村。「みんな原因は分かっている。そこがロンドンと違うところ」とメンバーの経験に希望を見いだす。

 8日(日本時間9日)の団体総合決勝は、予選と同じあん馬から。マイナスの記憶を一つずつ塗り替えていけば運命は開ける。そこに必要なものを問われた内村は、少し考えた後に答えた。「気持ちじゃないですか」 (鈴木智行)

◆演技の順番厳しく

 日本は予選4位となり、実施種目の順番も厳しいものとなった。3位ロシアと同じ班であん馬からスタートし、床運動が最後。1、2位なら床運動で始まって鉄棒で締める「正ローテーション」で回れるところだったがかなわず、3位に入れなかったことも微妙な影響を及ぼす。

 1、2種目目のあん馬、つり輪は今回の代表メンバーがやや苦手にする種目。あん馬はロシア、つり輪は日本が先に行うため、日本はこの2種目を短い休憩時間でこなさなければならない。もしあん馬で落下があれば、いきなり士気が落ちてしまいかねない。

 同様に5種目目の鉄棒、最終種目の床運動の間隔も短くなる。「お家芸」で追い上げられるのはプラス材料だが、床運動はダッシュと跳躍を繰り返すハードな種目。特に内村は「最後にやるのはきつい」と不安を抱えており、鉄棒の疲れをいかに残さないかがポイントになる。

 予選も同じ順で、内村は「あん馬で流れをつくり、平行棒でもう一度流れをつくれるかが鍵」と大会前に話していた。予選は平行棒で崩れただけに、反省を生かしたい。 (鈴木智行)

写真

※ご利用のブラウザのバージョンが古い場合、ページ等が正常に表示されない場合がございます。