紙面から

体操日本女子が3大会連続決勝 エース寺本、責任と成長の大舞台

女子予選寺本明日香の段違い平行棒=共同

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 女子予選が行われ、日本は1964年東京五輪以来のメダル獲得を目指す団体総合で合計172・564点の7位となり3大会連続の決勝進出を果たした。五輪2連覇を狙う米国が185・238点でトップ。中国が2位、ロシアが3位。8位までが進む決勝に予選の得点は持ち越さない。

 24位までが決勝へ進む個人総合は、世界選手権3連覇中のバイルス(米国)が62・366点で首位で予選通過した。村上茉愛(日体大)が57・265点の9位、寺本明日香(レジックスポーツ)は12位で予選突破。16位の杉原愛子(朝日生命)は、各国・地域上位2人までの進出枠に泣いた。

 種目別床運動では村上が8位で決勝に進出したが、昨秋の世界選手権4位の宮川紗江(セインツク)は跳躍失敗とラインオーバーの減点が響いて予選落ちした。 (共同)

 五輪で初めて演技をした日の朝のことを思い出す。「予選の前、選手村で卓球をしてました」。高校2年でロンドン五輪を経験した寺本にとって、20歳で帰ってきた大舞台は別世界のようだった。「朝の練習が終わって帰ったら突然、緊張し始めた。何だ、この気持ちはと」

 主将として若手中心のチームを引っ張る責任感、集大成の試合になるかもしれないという個人的な思い。前回、影も形もなかったものが頭の中を占めながら、エースはそれぞれの種目で成長の跡を刻んだ。

 「体がふわふわなまま行った」という跳馬で高難度の「チュソビチナ」に成功。段違い平行棒も「あれだけ出たのは初めて」という14・900点を挙げた。平均台は落下したものの6点を超えるDスコア(演技価値点)が認められ、苦手の床運動もまとめた。

 この日、落下のミスを犯したのは寺本だけ。「私も初めての五輪はすごく楽しかったから」。重圧の小さい後輩らに送る視線はうらやましげでもあるが「自分の役割はしっかり果たせた」。背負うものに見合う結果を残した自負はある。

 団体総合は3位ロシアと2点余りしか差がなかった。個人総合も、落下がなければ入賞を争える計算。「次はミスをしないように」。4年間の成熟を表現し尽くせば、目標に手が届く。 (鈴木智行)

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