紙面から

体操・白井、最終の床で突き放す

男子団体総合白井健三の床運動=リオデジャネイロで(佐藤哲紀撮影)

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 強心臓で知られる19歳でもやはり五輪はしびれる舞台だった。「人生で一番心臓に悪い日だった。その分、達成感は大きいし、断トツで一番幸せな日になった」と白井。予選での屈辱を払い、日本の強さを世界に誇示する演技だった。

 最終種目となった床運動のトップバッター。「責任がでかいところで回ってきた」。2日前はG難度の「リ・ジョンソン(後方抱え込み2回宙返り3回ひねり)」で大きくラインオーバーして減点された。「元気が良すぎた。いい意味でちょっと適当にやった」。今回はラインの1メートル近く手前で余裕を持って着地し、演技後は何度もガッツポーズ。予選で7点台にとどまった演技の出来栄えを示すEスコアを1点近く増やして16・133点。高得点の目安とされる15点を大幅に上回り、前の鉄棒を終えて首位に立っていた日本の金メダルを決定づけた。

 3種目目の跳馬でも、Eスコアを9・633点とほぼ完璧に仕上げ、後半戦へ向かうチームにこれ以上ない勢いをつけた。

 アテネ五輪の時はまだ7歳。「北京、ロンドン五輪で負けている悔しさの方を見ている世代。アテネの感動の再現というより、自分がリベンジしたい気持ちが強かった」という思いをリオで実らせた。 (鈴木智行)

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