紙面から

柔道女子63キロ級・田代、執念実らず5位

女子63キロ級3位決定戦イスラエル選手(左)に敗れた田代未来=内山田正夫撮影

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 メダルへの執念は実らなかった。女子63キロ級の3位決定戦。田代は開始直後の自らの投げ技で頭を畳に打ち付け、「ぼやけてしまった」。それでも先に、先にと仕掛けたが、1分もたたずに有効一つと技ありを奪われ、逃げ切られた。初日から続いた日本女子のメダルが4階級目で途切れ、試合後は「ただ弱かった」と目に涙を浮かべた。

 最大のヤマ場は準決勝のアグベニェヌ戦だった。最近3年の世界選手権で金1、銀2のフランスの強豪と過去の対戦は5戦全敗。「イメージトレーニングでも勝ったことがない」という天敵に、真っ向勝負を挑んだ。

 名うてのパワーファイターに組み手争いで勝り、奥襟を取る。足技でぐらつかせる場面もあった。ただ、詰めが甘かった。反撃を恐れて良い形を生かし切れず、日本女子の南條充寿監督は「行けそうというところで行けない弱さが課題」。組み合いの中で不用意に足を場外に出し、受けた指導1が勝敗の分かれ目。事前の対策の成果を見せ、これまでで最も善戦したが、田代は「勝たなければ意味がない。無駄な指導で負けて情けない」と悔やんだ。

 小学生のころから全国タイトルを獲得し、高校1年で世界ジュニア選手権を制した逸材。その後は2度の膝の手術で伸び悩んだ時期もあったが、将来性を買われて大抜てきされた2014年の世界選手権で銅メダルを獲得。昨年も世界3位と、頂点を狙える素質は誰もが認める。「五輪は本当に大きく感じて怖かった」。4年後の東京五輪は26歳。足りなかった心の強さを身に付ける時間は十分にある。 (井上仁)

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