紙面から

男子800リレー 「絆」結実

男子800メートルリレー決勝銅メダル獲得を決め、喜ぶ(左から)小堀、江原、萩野、松田=今泉慶太撮影

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 アンカーの松田がプールから見上げた景色に、笑顔が三つ並んでいた。すぐさまその仲間の輪に加わる。「いい位置で引き継いでくれたので何とかメダルを取りたかった」。52年ぶりにつかんだ男子800メートルリレーのメダル。抱き合って喜びをかみしめた。

 五輪4大会連続出場の松田を中心にまとまった4人。その松田は、リレーメンバーを選考する日本選手権男子200メートル自由形の決勝直後、3位で五輪初出場を決めた江原に声をかけた。

 「今までで最高のメンバー。本当に金メダルあるよ」

 その瞬間、江原は「五輪に行けるだけでうれしい思いはあったが、確かに出るだけではつまらない」と気持ちを引き締め直したと明かす。大きな目標を口にした経験豊富なリーダーの言葉に、若いメンバーたちはその気になった。

 欧州で合宿を張る萩野と、国内組の3人。それぞれに分かれての最終調整となったが、思いは一つ。特に国内に残った3人は、エースの萩野のスピードに少しでも近づくために声を掛け合いながらトレーニングし、絆を強めた。

 決勝は第1泳者の萩野が稼いだリードを後続が守り切った。江原が「3人に助けられた」と振り返ると、小堀は「前の2人がいい順位できてくれた」。互いをたたえ合う姿が、一丸となって挑んだレースを象徴していた。 (高橋隆太郎)

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