紙面から

男子200バタ・坂井、驚異の追い上げ 0秒04差「怪物」に肉薄

男子200メートルバタフライ決勝2位の坂井聖人=共同

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 男子200メートルバタフライ決勝で、初出場の21歳、坂井聖人(早大)が1分53秒40で銀メダルを獲得した。瀬戸大也(JSS毛呂山)は1分54秒82で5位。マイケル・フェルプス(米国)が1分53秒36で優勝した。

 男子800メートルリレー決勝の日本(萩野公介=東洋大、江原騎士=自衛隊、小堀勇気=ミズノ、松田丈志=セガサミー)は7分3秒50で3位となり、1964年東京大会以来、52年ぶりのメダルに輝いた。米国が7分0秒66で勝ち、アンカーのフェルプスは五輪史上最多の金メダル獲得数を21とした。

 男子200メートル平泳ぎ準決勝は、渡辺一平(早大)が2分7秒22の五輪新記録で全体1位、小関也朱篤(こせき・やすひろ、ミキハウス)は2分7秒91の4位で決勝に進んだ。

 女子200メートルバタフライ準決勝で、昨年の世界選手権を制した星奈津美(ミズノ)は2分6秒74の4位で決勝進出を決めた。東京・淑徳巣鴨高2年の16歳、長谷川涼香(東京ドーム)は2分7秒33の9位で敗退した。

 男子100メートル自由形の中村克は17位、塩浦慎理(ともにイトマン東進)は27位で予選落ちした。 (共同)

 怪物フェルプスを0秒04差まで追い詰めての銀メダルに、思わず笑みがこぼれる。坂井は何度も右腕を振り上げた。昨年も手が届きかけた世界の表彰台をついにとらえた21歳は「とにかくうれしい」と繰り返した。

 「ついていってラスト50メートルで勝負する」という作戦が見事にはまった。100メートル、150メートルではともに6番手。「すごくしんどかったけど、フェルプス選手が見えていたので自分が出ているのが分かった」。唯一1分22秒台でラストのターンを終えたフェルプスを猛追し、タッチの差まで脅かした。

 福岡・柳川高から進んだ早大に、2013年世界選手権男子400メートル個人メドレー金メダルの瀬戸がいた。「憧れ。何でも速い。僕とは練習内容が違うが、見ていてこれが世界一の泳ぎなんだなと」

 そんな雲の上の存在が、初出場した昨夏の世界選手権をへて現実的な目標になった。ともに出場した200メートルバタフライで4位。6位の瀬戸に勝った。

 「瀬戸選手は絶好調ではなかった。うれしいが、僕の方がまだ下」と冷静に分析する一方で、「今までは(瀬戸に次ぐ)2番でいいやと思っていたが、今は近いところまで来ている。200メートルバタフライは僕がリードするつもりでいきたい」と強い気持ちを持ち合わせる。

 リオデジャネイロ五輪の選考会だった日本選手権はタッチの差で優勝は瀬戸に譲ったが、2位で初の代表に食い込んだ。偉大な先輩を追うようにやって来た地球の裏側で、メダルをつかんだ。

 昨年、敬愛する瀬戸とともに世界選手権の決勝で泳いだ経験は無駄ではなかった。アテネ銀の山本貴司から続くこの種目のメダルの系譜を継ぎ、日本のバタフライを引っ張る責任を負うことになった坂井。第一人者への道が、リオから始まった。 (高橋隆太郎)

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